夏休みの宿題の中で、みなさんはどの宿題が一番大変だと感じますか?
毎日の日記、大量の問題集、アイデア勝負の自由研究……苦労を感じるポイントは人それぞれですが、どう書いたらいいかわからない読書感想文が一番大変という中学生も、少なくないみたいですね。
実は、感想文を上手に書くコツは「構成」にあります。この構成をどう組み立てるかで、感想文のできが大きく変わります。
「読書感想文の書き方がわからない」「上手に読書感想文が書けるようになりたい」とお悩みの方必見! 今回は読書感想文がぐんと上達する「構成」組み立てのポイントを伝授します。
読書感想文を書く時のステップ
読書感想文に取りかかる前に、まず読書感想文を書くには何をする必要があるのかを確認してみましょう。- ①本を選ぶ
- ②本を読む
- ③材料を集める
- ④構成を作る
- ⑤感想文を書く
読書感想文を書くには、最低でも上の5つのステップを踏む必要があります。この記事では、主に②③④について解説していきたいと思います。
まずは材料を集めよう
読書感想文を書くには、読んだ本の中から「感想文の材料」を集める必要があります。本を読んでいて「これ、使えそうだな」と思う部分が出てきたら、あとで見つけやすいよう、ふせんなどで印をつけておきましょう。
具体的にどんなところが「材料」になるか、代表的なものをいくつか挙げておきます。本を読むときの参考にしてください。
その本のテーマはなにか
その本がメインとして取り上げているテーマや課題は、読書感想文の材料の中でもメインになるものです。
本の中で起こる一番大きなできごとはなにか、それを通じてこの本が伝えようとしていることはなにか、自分はそのできごとやテーマに対してどう思うかを、考えながら読みましょう。
自然と、読書感想文のメインテーマも決まってくるのではないでしょうか?
その本で印象が強かったシーンはどこか
本の中で特に「感動した」「驚いた」「恐怖を覚えた」シーンは、読書感想文に使いやすい材料です。
印象に残るシーンを見つけたら、どうして印象に残ったのか、自分はそのシーンにどのような感情を抱いたのか、どうしてそう感じたのかを考えてみましょう。
その本で心に残ったセリフはどれか
登場人物のセリフの中で特に心に残ったものがあれば、それも要チェックです。
感動したセリフでもいいですし、ショックを受けたセリフや腹が立ったセリフでも構いません。どうして自分がそう感じたのか、その理由も考えるのを忘れずに。
その本の登場人物で自分に似ているのは誰か
自分に似ていると感じる登場人物がいる場合は、その登場人物の行動や心の動きに注目して本を読んでみましょう。
自分に似ているキャラクターの行動や発言の中でも、「この行動には賛成」「ここは自分ならこうする」と、共感できるところ、できないところが見えてくるはず。そう思う理由もプラスできれば、読書感想文の立派な材料です。
集めた材料を使って構成を組み立てよう
本を読み、読書感想文の材料になりそうなものが集まったら、まだ記憶が新しいうちに構成の作成に入るのがおすすめです。読書感想文の構成は、主に以下の3ステップで組み立てられます。
- ①集めた材料をもとに、書きたいことをまとめた構想リストを作る
- ②リストをもとに、大まかな構成を作る
- ③何をどの順番で書くかを具体的に決める
順番に詳しく説明していきましょう。
書きたいことや自分の経験をリストアップする
まずは①の構想リストを作りましょう。
集めた材料の中から、特に書きたいことや、それにまつわる自分の経験・エピソードなどをピックアップして、紙に書き出します。
リストアップ例
- ・この本のテーマや一番のできごと→それについてどう思うか
- ・本のあらすじとこの本を選んだ理由
- ・印象に残ったキャラクターの行動→自分ならどうするか
- ・一番感動したシーン→感動した理由、似たような過去の経験
- ・この本を読んで学んだこと、変わったこと
この時点で長い文章にしたり、きれいにまとめたりする必要はありません。要点だけでいいので、「これについてなら文章を書けそう」と思った材料を簡単にメモしましょう。
このとき大切なのは、必ず「集めた材料に自分をからめることを意識する」ことです。経験・感想・意見など、なんでも構いません。ただ本の内容をまとめて並べただけにならないよう、自分についても語れそうなネタを選びましょう。
リストの内容を大きく3つに分類する
構想リストができあがったら、次にリストの内容を3つにわけて、②のざっくりとした構成を作ります。
読書感想文は、大きく分けて「書き出し→本文→まとめ」の3つで構成されています。構想リストの項目をそれぞれどこに当てはめるかを決めれば、読書感想文のおおまかな全体像が見えてくるはずです。
書き出し
書き出しは、読書感想文のつかみの部分。読書感想文のメインは本文ですので、その本文につながるよう、これから何を語るのかを簡単に説明しておきたいところです。
書き出しには、こんな材料やネタが使いやすいかと思います。
- 本のあらすじやテーマの簡単な説明
- この本を選んだ理由
- この本を読む前に、テーマについて抱いていた印象や意見
- 本の内容にからめた問題提起
導入ですので、あまり長くならないように。材料は1つか2つで十分です。
本文
読書感想文のメインの部分です。構想リストの中でも自分が一番書きたい部分、長くたくさん文章が書けそうな材料をここに配置しましょう。
本文に使えそうな材料の例をいくつか挙げてみます。
- この本のテーマや一番のできごとについての詳細と、それに対する自分の意見
- 印象に残ったキャラクターの行動やセリフ、自分ならどうするかとその理由
- 一番感動したシーンとその理由
- この本と関係する自分の経験やエピソード
使える材料が多すぎるときは、自分が一番書きたいと思うことをまず選んで、それに関係する・共通するところのある材料も2~3個ピックアップしましょう。
まとめ
読書感想文のラスト、締めの部分です。書き出しと本文の内容をふまえて、この本が自分に与えた影響を簡単にまとめたいところ。このとき、あくまで「本の内容」よりも「自分に関すること」を中心にするのがポイントです。
まとめには、以下のようなことを書くとまとまりやすいかもしれません。
- この本を読んで学んだことや感じたこと
- この本を読む前に抱いていた印象や意見が、本を読んだ後どう変わったか
- これから自分がどうなりたいか、どうしていきたいか
それぞれの材料・項目を並びかえる
大まかに構成が組みあがったら、書く順番を決めてそれぞれの材料やネタを並べれば、構成作りは完成です。
自分が一番伝えたいことを中心に、話がスムーズに進むよう、流れを考えましょう。
流れの組み立て方はさまざまですが、「印象に残ったことなど」→「その理由や関係する自分の経験」→「自分の意見や主張」という流れが一番シンプルで実践しやすいかと思います。
とにかく伝わりやすい文章を目指すなら、「ポイント・結論→理由→具体的な説明→再びポイント・結論」の順番で話を進める「PREP法」をためしてみるのもおすすめ。 PREP法とは、「Point(要点)」→「Reason(理由)」→「Example(具体例)」→「Point(要点)」の4ステップで文章を構成する方法です。
また慣れてきたら、読む人に与えるインパクトを狙って順番を工夫してみるのもおもしろいですよ。
読書感想文の構成が作りやすくなるコツ
最後に、読書感想文の構成がより作りやすくなるよう、本を選ぶ、本を読む段階でのコツも簡単に紹介しておきます。
これを意識しておくだけでも、読書感想文の書きやすさが大きく変わります。ぜひ参考にしておいてください。
自分がおもしろいと思える本を選ぼう
読書感想文の本を選ぶときに一番大切なのは「自分がおもしろいと思えるかどうか」です。
人気の話題作だから、書きやすそうなテーマだからという理由で本を選ぶのも悪くはありません。ただ、「共感できる」「楽しいと思える」本の方が圧倒的に材料が見つけやすいものです。
まずは自分が純粋に楽しめる本を探してみましょう。
本は何度か読みかえそう
読書感想文用の本は、2回は読みかえしましょう。
1回目は、材料集めのふせん貼りなどせず、ただストーリーを追ってください。読書感想文のネタ探しに集中するあまり、ストーリーが頭に入ってこないなんてことになれば本末転倒です。
じっくりストーリーを堪能したら、2回目は、材料探しのために読みましょう。話が頭に入っている分、材料にできそうなところが見つけやすいですよ。
似ている・共感できる点以外にも注目してみよう
材料探しに困ったら、「似ている・共感できる」などのプラスの感情以外、つまり「似ていない・賛成できない・共感できない」といったマイナスの感情にも注目してみましょう。
読書感想文は、なにも作品のいいところだけを書かなければならないものではありません。ストーリーや登場人物のよくないところから学んだことや教訓をテーマにしてもいいのです。
「自分は主人公の行動や作者の主張に反対だ。自分ならこうする」という切り口から作品を論じれば、読む側の注意をひく読書感想文になります。
読書感想文の構成 まとめ
読書感想文を書くには、その下準備である構成づくりが大切です。いきなり文章を書き始めるのではなく、まずは設計図である構成の組み立てから始めましょう。
このとき、ただ本の内容を要約して並べるだけの構成にならないよう注意してください。大切なのは、その本を読んでどう感じたかなど、自分について書くことです。
構成作りさえマスターしてしまえば、読書感想文はもう攻略できたも同然!今まで苦手だった読書感想文を今年は早めに終わらせて、余裕のある夏休みをすごしましょう。