勉強中の休憩はとても大切です。とはいえ、単に休憩時間を設ければいい、というわけではありません。休憩をとったら逆に勉強をする気がなくなってしまった、という経験をした人もいるでしょう。
勉強の効率や集中力は、実は休憩時間の過ごし方によっても変わってしまうのです。
この記事では、勉強効率を上げる効果的な休憩時間の過ごし方や、休憩のNGパターンを解説していきます。休憩のとり方がわからない人、ついだらだらと休憩してしまう人は、ぜひ最後までお読みください。
休憩は、集中力を維持する大切な手段
人間が集中力を維持できる時間には限りがあります。一般的には25分、長くても90分が限界だそうです。その時間を超えて勉強を続けても、効率は下がる一方でしょう。そのため、長い時間、集中力を維持したまま勉強を続けたいのであれば、合間に休憩をとって頭を休ませてあげる必要があります。
休憩はサボりなどではなく、長く効果的に勉強し続けるための大切なメンテナンス作業なのです。
休憩をとるタイミングと休憩時間は?
どうせ休憩するのであれば、集中力が切れてしまってからあわてて休憩をとるよりも、計画的に休憩時間を設けて上手に集中力をコントロールしたいところです。
では、どのタイミングでどれくらいの時間、休憩をとればいいのでしょうか。合う合わないは人により異なりますが、いくつかおすすめの設定をご紹介します。
ポモドーロ・テクニックを利用する
作業効率を上げるための時間管理術として有名なのが、ポモドーロ・テクニックです。この方法では、「25分勉強したら5分休憩する」のを1セットとして扱い、これを3セット繰り返したところで、15分の休憩をとります。
25分という比較的短めのサイクルで時間を管理することにより、短時間で深く集中する癖がつき、効率よく勉強できると言われています。
自分で一番集中できる時間を決める
「25分では中途半端。もう少しまとめて勉強しないとエンジンがかからない」と感じる人もいるでしょう。
ポモドーロ・テクニックが合わないと感じる場合は、自分で勉強時間と休憩時間を決めてしまいましょう。ある程度まとまった勉強時間と短い休憩時間を1セットに設定し、自分が最も集中しやすく疲れにくいと感じるサイクルを見つけるのです。
ただし「30分勉強して20分休む」のように、休憩時間が多すぎる設定にしてしまってはあまり効率的ではありませんね。
学校の授業時間と休み時間のサイクルを採用する
学校の授業時間と休み時間のサイクルを、そのまま採用するのもおすすめです。
多くの場合、中学校の授業時間は50分程度と、集中力を維持できる時間に設定されているため、無理なく勉強を続けられます。
日頃から実践しているリズムで勉強することになるので、一番なじみやすく簡単な方法です。
志望校の試験時間のサイクルにあわせる
受験期が近づいてきたら、志望校の試験時間と休憩時間のサイクルにあわせて勉強するのもいいかもしれません。
受験本番では、試験時間中、集中力を維持し続ける必要があります。普段の勉強時間より試験時間の方が長いと、試験後半で疲れて集中できなくなってしまうかもしれません。
試験中、最後まで集中して問題を解き続けられるよう、日頃から訓練しておくのがおすすめですよ。
効率のアップが期待できる休憩時間の過ごし方は?
休憩するタイミングと時間を決めたら、次に大切なのは「休憩中にどのように過ごすか」です。休憩時間の過ごし方ひとつで、次の勉強サイクルの効率が変わってしまうかもしれません。まずは、効率アップにおすすめな休憩時間の過ごし方を5つご紹介します。
間食や水分補給をする
脳の栄養となるブドウ糖は、基本的に体にためておくことができません。勉強の休憩時間には甘いものなどを少し食べて、使ったエネルギーを頭に補充してあげましょう。
また、休憩中は意識的に水分を補給しましょう。イースト・ロンドン大学とウェストミンスター大学の研究 によると、知的作業前に0.5リットルの水を飲むことで、パフォーマンスが大きく向上するそうです。
音楽を聴く
音楽にはさまざまな効果があります。例えば、好きな音楽を聴くと「ドーパミン」が分泌され、意欲がわきやすくなるそうです。また、ゆったりした音楽にはリラックス効果があると言われています。
疲れを癒して次の勉強サイクルに備えるには、その時の気分にあった音楽を聴いて、意識的に気持ちをコントロールするのも効果的です。
軽く体を動かす
勉強中はずっと同じ姿勢で座っているため、肩や腰に負担がかかり、血流も悪くなりがちです。
休憩時間中は意識的に椅子から立ち上がるようにしましょう。軽くストレッチなどを行うと、疲労回復が見込めます。血流がよくなり、脳が活性化するという効果も期待できるでしょう。
時間に余裕がある時は、外に出て日の光を浴びるのもおすすめです。日光を浴びることで脳内に分泌される「セロトニン」には、気持ちの安定や脳の活性化、意欲向上などの効果があります。
仮眠をとる
強い眠気を感じるときは、思い切って仮眠をとってしまいましょう。睡眠は、疲れをとり脳を回復させる、最も効果的で手っ取り早い手段です。
仮眠をとる際は、アラームなどをセットして、短時間で済ませることが大切です。うっかり寝すぎてしまわないよう、ベッドなどで眠るのは避けた方がいいかもしれませんね。
目を閉じて静かに過ごす
短時間では寝つけないという人は、目を閉じているだけでも疲労回復効果が得られます。実は、目から入ってくる情報を処理するだけでも、脳はかなりのエネルギーを消費するのです。
仮眠が取れない時は、椅子に体を預け、目を閉じて静かに過ごしましょう。この時、難しいことは考えず、なるべく頭を空っぽにできるとより効果的です。
休憩をとるときに気を付けたいこと
ここからは、休憩をとる際に気をつけてほしいポイントを4つ、ご紹介します。
繰り返しになりますが、休憩時間の過ごし方によっては逆にその後集中しにくくなり、勉強の効率が落ちてしまうことも考えられます。
以下のポイントに気を付けて、せっかくの休憩が逆効果にならないように注意してください。
スマホはNG! まずは脳を休ませる!
休憩には「気持ちを回復させる」ものと「脳や体を休ませる」ものがあります。
どちらも大切ですが、勉強効率の観点から言うと、最も大切なのは「脳や体を休ませる」ことです。休憩によってモチベーションが回復しても、肝心の脳が疲れたままでは、勉強効率が上がらないことを頭に入れておいてください。
休憩時間にスマホをいじるのは楽しく、気持ちの回復にはつながるでしょうが、脳の回復としては逆効果です。スマホから得られる視覚情報や刺激は、脳や目を疲れさせます。
そのため、休憩時間中にスマホで動画を観たり、ゲームで遊んだりするのは望ましくありません。頭を休めるため、休憩時間中もスマホには触らないようにしましょう。
どうしてもスマホを触りたいのであれば、長めの休憩中にし、それも短時間にとどめておくのが理想的です。
寝すぎには要注意
先ほど休憩中の仮眠をおすすめしましたが、。長すぎる仮眠は逆効果です。
仮眠の理想的な時間は15分から20分と言われています。これ以上の時間眠ってしまうと、脳が熟睡モードに入り、目が覚めにくくなってしまうのです。仮眠をしたのにまだ眠いという時は、寝すぎが原因かもしれません。
仮眠の効果を最大限に得るため、長くても20分以内の睡眠におさえましょう。その時間を超えると眠りから覚めにくくなり、次の勉強サイクルに影響を与えます。
おやつの食べすぎは厳禁
間食がおすすめとは言え、食べすぎには要注意です。人は、たくさんものを食べて一気に血糖値が上がると、強い眠気に襲われるようになります。昼食後の授業で眠くなりやすいのはこのためです。
血糖値の急激な上昇を防ぐため、一度に大量のおやつを食べるのは避けましょう。休憩中の間食は、少量ずつ、時間を空けながら、が効果的です。
決めた休憩時間は厳守する!
せっかく休憩時間を決めたのに、勉強を再開する気にならず、ついだらだらと休憩を延長してしまった……。こんな経験をした人は少なくないと思います。
「やる気が出ないからもう少し休憩する」というのは、いい方法ではありません。実は、やる気は「勉強を始めることでわいてくる」のです。作業を進めるうちにやる気が出てくるこの現象を「作業興奮」と呼びます。
作業興奮は勉強に着手しなくては起こりません。あらかじめ決めた休憩時間が終わったら、必ず休憩を切り上げて勉強を再開しましょう。やる気は後からついてきます。
効率を上げる休憩の取り方|まとめ
集中力を維持して勉強効率を上げるには、定期的な休憩が欠かせません。
休憩時間中は、仮眠をとる、体を軽く動かすなどして、脳と体の疲れを癒すことを第一に考えてください。気持ちのリフレッシュも大切ですが、そのために脳や目を疲れさせてしまっては本末転倒です。
休憩時間を上手に味方につけることで、より勉強の効率がアップして、勉強したことが頭に残りやすくなるでしょう。ご紹介した方法を実践し、自分に合った方法や休憩サイクルを見つけてください。