中学や高校の入学試験を控えている本人や保護者のなかには、初めての入試で分からないことが多く困っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では入学試験の基礎知識を紹介しながら、中学入試・高校入試それぞれの入試方式や入試日程に加えて、出願方法・受験料の納入時期などについて解説していきます。
入学試験とは
そもそも入学試験とは何かというと、中学や高校などの学校への入学を志願する方のなかから、入学するにふさわしいかどうかを決めるために実施される試験のことで、略して「入試」と呼ぶのが一般的です。
各中学校・高校で採用している入試方式や入試日程、出願方法などが異なるため、事前にしっかりと志望する学校の入試に関する情報をチェックしておく必要があります。
意外と多い?入試の方式|中学入試編
まずは中学入試における入試方式について解説していきます。入試方式にどのような種類があるのかご存じでしょうか。
中学入試の方式としては、おもに以下のような種類が挙げられます。
- 4科目入試(3科目入試)
- 2科目入試
- 英語入試
- 算数1科目入試
- 適性検査型入試
こうして並べてみると、意外にもその種類の多さに驚く方もいるのではないでしょうか。 では、上記で挙げたそれぞれの中学入試方式について詳しく解説していきます。
中学入試の方式①4科目入試(3科目入試)
中学入試において最も主流と言われているのが「4科目入試」と呼ばれる入試方式で、こちらは「国語・算数・理科・社会」の4科目を採用した入試方式です。
多くの学校がこの4科目入試を採用していますが各科目の配点に関しては学校ごとに異なり、大きく分けると4科目を均等配点する場合と特定の科目の配点を高く設定する傾斜配点があります。
傾斜配点に関しては、一般的に国語と算数の配点を高くする傾向にあるため、国語・算数が得意な場合は有利に受験勉強を進めることができるでしょう。
なお、関西では、「国語・算数・理科」の3科目の学校もあります。
中学入試の方式②2科目入試
中学校によっては2科目入試という方式を採用している学校もあり、特に近年増加傾向にある午後入試においてはこの2科目入試を実施するケースが多いです。
午後入試とは、文字通り午後の時間帯に実施される入学試験のことで、午後入試であれば午前中に1校の受験を受けて午後に別の1校の受験を受けられるため、近年午後入試を選択する受験生が増加しています。
基本的に2科目入試は国語と算数が採用されるケースがほとんどですが、中学校によっては国語・算数・理科・社会のなかから好きな科目を2つ選択できるところもあります。
中学入試の方式③英語入試
最近では上記の4科目入試と2科目入試に加えて、さまざまな新方式の入試を取り入れる学校も増えており、そのなかの1つが「英語入試」と呼ばれる方式です。
グローバル化に伴い、近年では小学校での英語教育が必修となり、将来を見据えて小さいころから英語教室に通う子どもも増えているため、一般入試に英語入試を採用する中学校が多くなっています。
具体的な試験内容については、学校によって筆記試験を導入しているところもあれば、英語による面接やディスカッションを採用しているところなど多種多様です。
中学入試の方式④算数1科目入試
先ほどお話しした午後入試を採用する中学校のなかで、特に増えているのが「算数1科目入試」と呼ばれる入試方式で、算数の1科目だけで受験することができます。
そのため、併願先として算数1科目入試を選択する受験生も増えつつあり、最近では高倍率になるケースも多いです。
具体的な試験内容については中学校によって違いがありますが、最初にご紹介した4科目入試や2科目入試と比べると試難易度が高いといわれています。
中学入試の方式⑤適性検査型入試
公立中高一貫校で実施されている適性検査に則った入試方式を採用する学校もあります。
この適性検査型入試は、一般入試で実施される科目ごとの学力試験とは違って、「適性検査Ⅰ」と「適性検査Ⅱ」で構成されています。
適性検査Ⅰは文章を読んで自分の考えをまとめる国語的な対応が問われ、適性検査Ⅱは算数・理科・社会の科目における応用力や考察力が求められる点が特徴です。
意外と多い?入試の方式|高校入試編
ここまで中学入試における入試方式について解説しましたが、高校入試にも大きく分けて「一般入試」と「推薦入試」の2種類と、特色選抜があります。
ここからは私立・公立・国立の3つの観点から、一般入試・推薦入試それぞれの特徴について確認していきましょう。
高校入試の方式①【私立】一般入試
高校入試にも一般受験と推薦入試の2種類がありますが、難関私立高校や特進クラスなどにおいては、内申点を基準とした推薦入試を実施していないところもあり、そういった高校を志望する場合は一般入試で受験することになります。
内申点や欠席日数などによって志望校の推薦基準を満たさず、推薦がもらえないケースにおいても一般入試で受験しなければなりません。
なお私立高校の一般入試では、英語・数学・国語の3科目を試験科目に設定している学校が多い傾向にあります。
また、合格したら必ずはいることを約束する専願と、複数の学校を受験する併願があります。
高校入試の方式②【公立】一般入試
公立高校の一般入試では、基本的に英語・数学・国語・理科・社会の5科目が入試問題として出題されます。また、内申点は一般入試において重要であるため、日頃から内申点を意識する必要があります。
出題範囲に関しては一般的に中学卒業までに学ぶ内容となっていますが、教科書をベースとしたさまざまな応用問題も出題されるため、基礎学力だけではなく、発展的な問題まで事前にしっかりと幅広く対策しておくことが大切です。
また難関レベルの公立高校においては、難しい応用問題を解く必要があります。たとえば、大阪府の場合は3レベルの問題があり、1番難しいレベルの問題はかなりの難問が出ます。
こうした難関レベルの公立高校を志望する場合、選択問題の対策をしっかりしておくことが合格するための大きなポイントになるでしょう。
高校入試の方式③【国立】一般入試
国立高校は一部の都道府県に設置されており、一般的には公立高校と同様に5教科による入試が実施されますが、入試問題の内容は各国立高校が独自に作成しています。
また選考基準も各校で異なり、問題が難しいうえに、倍率も高く、例えばお茶の水女子大学付属高校は毎年倍率は3倍ほどです。
入試時期は1月上旬ごろとなっており、ほかの高校入試よりも比較的早いため、国立高校の受験を受けてからほかの高校を受験することになります。
高校入試の方式④【私立】推薦入試
私立高校の推薦入試を受験する場合は、通っている中学校の校長先生から推薦状をもらう必要があり、欠席日数や内申点によっては推薦してもらえないケースもあるため注意が必要です。
また私立高校の推薦入試においては、大きく分けて「単願(専願)推薦」「併願推薦」「特別推薦入試」の3種類があり、この種類によって推薦を受けられる条件が異なります。
単願(専願)推薦は他の私立高校や公立高校と併願せずに、志望する私立高校を第一志望とする受験生を対象とした推薦入試で、合格する確率が高く、合格したら必ずその私立高校に入学しなければなりません。
併願推薦は公立高校と併願する受験生を対象とした推薦入試で、第一志望の公立高校に合格した場合は、私立高校に合格していたとしても公立高校に進学することができます。
特別推薦入試はいわゆるスポーツ推薦と呼ばれる入試方式で、部活動において優秀な成績を収めた受験生を対象とした推薦入試のことです。
高校入試の方式⑤【公立】推薦入試
公立高校の入試にも一般入試と推薦入試の2種類がありますが、学校によっては推薦入試を実施していないところも珍しくありません。
公立の場合は推薦の種類に関係なく、推薦は1校しか受けられず、推薦入試を受けた高校に合格した場合は必ず入学することが前提となっており、各公立高校の推薦入学枠は科によって違いがあります。
普通科の場合は募集人数に対する約2割が推薦入学枠となっており、農業・水産系の学科は特に制限が設けられておらず、その他の学科に関しては約5割です。
また高校によっては、実技試験や作文をはじめ自己PRの提出が必要な学校もある一方、面接のみの試験を実施しているところもあります。
高校入試の方式⑥【国立】推薦入試
国立高校にも一般入試と推薦入試があり、推薦入試では調査書点・集団討論・個人面接・小論文それぞれで配点が振り分けられています。
調査書点は450点満点、集団討論・個人面接は150点満点、小論文は300点満点の合計900点満点で合否判定を行ない、このなかでも全体の3割を占める小論文の攻略が合格するための大きなカギです。
国立高校の小論文は「社会系」と「理科系」の2つのテーマで出題されますが、特に理科系の問題が難しいといわれているため、小論文をきちんと対策することで周りと差をつけられるでしょう。
入試日程は?
入試日程は受験する学校によって異なり、さらに入試方式によっても時期が違うため、志望校が決まっている場合はあらかじめスケジュールを確認しておくことが大切です。
ここからは中学受験と高校受験に分けて、入試日程の目安を確認していきましょう。
入試日程|中学受験
中学受験の入試日程についてですが、東京都と神奈川県の中学校の一般入試の場合、概ね2月1日〜5日に行なわれます。
千葉県や埼玉県では、1月中旬ごろから一般入試が開始されるため、東京都や神奈川県の受験生が本命の前に受けることもあります。
入試日程|高校受験
高校受験の入試日程に関しても都道府県や私立・公立によって異なりますが、一般的には中学3年の1月上旬〜3月上旬です。
受験方式 | 入試日程 |
---|---|
私立推薦入試 | 1月上旬〜2月上旬 |
私立一般入試 | 1月下旬〜2月中旬 |
公立第1回 | 2月上旬〜2月中旬 |
公立第2回(一般入試) | 2月中旬〜3月上旬 |
また公立入試においては、各都道府県や自治体によって1回だけ実施しているところもあれば2回実施しているところもあるため、よく確認しておきましょう。
入試の出願方法と受験料の納入時期
入試を受けるためには志望校に願書を提出する必要がありますが、最近ではさまざまな出願方法が取り入れられており、志望校にどんな出願方法があるか事前に確認しておくことも大切です。
ここからは、「インターネット出願」「郵送出願」「窓口出願」の3つの出願方法に加えて、受験料の納入時期についても解説していきます。
出願方法①インターネット出願
近年主流になりつつあるのがインターネット出願という出願方法で、出願期間内ならいつでもWeb上から出願することができるため、極端に言えば受験前日でも手続きが可能です。
受験料の納入に関しては基本的にクレジットカードで行なうため、近隣のATMや銀行に振り込みに行く必要もなく、すべてWeb上で完結することができます。
自宅にいながら出願と受験料の納入まで完結できるからと言って後回しにするのではなく、願書の出願はインターネット出願であっても時間に余裕をもって出願するようにしましょう。
出願方法②郵送出願
郵送出願は作成した願書をポストに投函して郵送する出願方法で、この方法で出願する場合は締切日に注意しなければなりません。
締切日必着なのか消印有効なのかによって出願するタイミングが異なってくるため、何らかのトラブルで願書の到着が遅れることを想定して早めに出願するようにしましょう。
出願方法③窓口出願
窓口出願は従来の出願方法となっており、事前に手に入れておいた願書に記入して出願期間内に学校の窓口に提出するという方法です。
インターネット出願と異なり、手書きで必要事項を記入し学校に持って行かなければならないという点では少し手がかかりますが、万が一記入内容に不備があったとしてもその場で訂正できる場合があることや、学校の位置や道のりを下見できるといったメリットがあります。
しかし、全ての学校がその場で確認をしてくれて、不備があったら修正させてくれるわけではないので、なるべく不備はないように慎重に記入しましょう。
受験料の納入時期
中学受験・高校受験ともに受験料は各校で異なりますが、一般的に以下のように設定されているケースが多いです。
中学校の種類 | 受験料 |
---|---|
私立中学 | 20,000円程度 |
公立中高一貫校 | 2,000円程度 |
国立大付属中学 | 5,000円程度 |
高校の種類 | 受験料 |
---|---|
私立高校 | 22,000円(首都圏の平均) |
公立高校 | 2,200円程度(佐賀県・福岡県は2,100円) |
国立高校 | 9,800円程度 |
受験料の納入時期に関しては、基本的には出願より前に受験料を納入しなければならないケースがほとんどですが、具体的な時期は都道府県や学校によって異なるため志望校の募集要項・入試要項をきちんと確認しておくようにしてください。
入試を受けるメリットは?
みなさんは、これから中学入試や高校入試を受けるにあたって、入試を受けることのメリットについて考えたことはあるでしょうか。
漠然と志望校合格を目指すのではなく、しっかりとメリットを把握したうえで目的を持ってチャレンジしたほうがモチベーションにもつながります。
そこでここからは、中学入試・高校入試それぞれの入試を受けるメリットについて確認していきましょう。
入試を受けるメリット|中学入試
中学入試を受けるメリットとしては、おもに以下のようなものが挙げられます。
- 学校ごとの教育理念に沿って子どもの長所を伸ばせる
- 大学受験にしっかりと備えることができる
- 知識を身につけられる
- 壁を乗り越える力が養われる
中学校によって異なる教育理念が掲げられており、ご家庭での教育方針や子どもの考え方・性格に合った教育理念を掲げる中学校を選択すれば、子どもの長所をしっかりと伸ばすことが可能です。
また私立中学に関しては6年間に及ぶ中高一貫教育を実施しているため、6年間をかけて大学受験を見据えて勉強に励むことができます。
さらに、中学入試における受験勉強は小学校で学ぶ内容と大きく異なり、小学4年生ごろから準備を行なって幅広い知識を身につけなければならないため、将来的に役立つ知識を身につけることが可能です。
ほかにも中学入試は長期間にわたって準備していく必要があり、そのなかで分からない問題が出てくることや成績が思うように上がらないといった壁にぶつかることもありますが、その壁を乗り越えるにはどうしたらいいのかを考える力が養われ、達成感を得ることまでできます。
入試を受けるメリット|高校入試
高校入試を受けるおもなメリットとして、以下の4つをピックアップしました。
- 高校受験の経験を活かして大学受験に挑める
- 公立中学校に通うことで価値観を磨ける
- 自ら目標を掲げて努力することで成長につながる
- 保護者目線では空いた時間を使ってサポートできる
中学入試を受けた場合、人によって高校1年生ごろに勉強に対するモチベーションが下がってしまうケースがありますが、高校受験を受けた場合だと受験後の3年間という短い期間で大学受験に挑まなくてはならないため、高校受験での勢いのまま大学受験に挑めます。
また、私立中高一貫校に入学すると6年間は学力や価値観が似た人と過ごすことになりますが、公立中学校に入学して3年後に高校受験をする場合、学力や価値観の異なる人が集まるため幅広い価値観を身につけることが可能です。
そして高校受験においては、子ども自身が自ら目標を掲げて努力していくことが大切なため、「自分で考えて行動する」という点が自然と身につき成長につなげられます。
保護者目線でメリットを考えると中学受験の場合は保護者のサポートが重要ですが、高校受験では子どもが主体的に頑張る必要があるため、保護者は時間的な余裕が生まれ食事や環境面など違う観点からのサポートが可能です。
入学試験の疑問あれこれ全て解決|まとめ
入学試験とは、中学・高校への志願者のなかから入学を許可しても問題ないかを決めるために行なう試験のことで、一般的に「入試」と略して呼びます。
中学入試・高校入試どちらも、学校や都道府県によって異なる入試方式・日程・出願方法などを採用しているため、ある程度志望校が決まった段階できちんと募集要項や入試要項を確認しておくことが大切です。
また入試方式によって対策しておかなければならない科目や内容も異なるため、効率良く計画的に受験勉強を進めていくためにも受験に関する情報を事前に調べておくとよいでしょう。
中学入試・高校入試どちらを受けるべきか迷っている方は、以下のメリットを参考にして今後の進学計画を立ててみてはいかがでしょうか。
中学入試のメリット | 高校入試のメリット |
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・学校ごとの教育理念に沿って子どもの長所を伸ばせる ・大学受験にしっかりと備えることができる ・知識を身につけられる ・壁を乗り越える力が養われる | ・高校受験の経験を活かして大学受験に挑める ・公立中学校に通うことで価値観を磨ける ・自ら目標を掲げて努力することで成長につながる ・保護者目線では空いた時間を使ってサポートできる |
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