「いい子症候群」という言葉を聞いたことはありますか?
いい子症候群は、親の子どもに対する期待が大きすぎるために子どもの自主性を奪ってしまい、結果的に子どもの問題行動につながってしまうとして近年注目されています。
親が子どもに対していい子に育ってほしいと願うことは自然なことです。
しかし、親の理想ばかりを押しつけて子どもの意思を尊重してあげないことで、子どもらしいのびのびとした成長を阻害してしまうことにつながるのです。
今回の記事では、いい子症候群とは具体的にどのような現象なのか、その特徴やいい子症候群になってしまう原因、将来的なリスクと親ができる対策についても詳しく解説していきます。
お子さんがいい子症候群になっていないか、少しでも気になっている方はぜひ最後までご覧ください。
いい子症候群とは?
いい子症候群とは、親の期待に応えようと頑張りすぎてしまう子どものことです。
いい子でいること自体が問題なのではなく、親に認めてもらえるいい子でいようとすることを優先しすぎてしまい、心の中に多くのストレスを抱え込んでしまうことが問題なのです。
親の前ではいい子でいようと自分自身を押さえつける状態が続いてしまうと、無意識の内に溜まったストレスを発散させようとして親の見ていないところで問題行動を起こしてしまうこともあります。
園や学校では友達・先生に対して反抗的になってしまったり、非行に走ってしまう危険性があるのです。
いい子症候群のお子さんは、親の言う通りにしか行動できなかったり、他人とコミュニケーションがうまく取れなかったりする傾向が強く、幼少期だけではなく大人になってからもその特徴が残って苦労する人も多いです。
いい子症候群の特徴
いい子症候群の子どもにはどのような特徴があるのでしょうか。
具体的にご紹介していきますので、当てはまるものがあるか確認してみましょう。
親や他人の顔色を伺いすぎる
いい子症候群の子どもは、親や他人がどう思うかを優先して物事を考えてしまうため、親や他人の顔色を伺いすぎる傾向があります。
自分で物事を考えて意思を伝えるよりも、親の言うことをその通りに聞いて行動することに慣れてしまうため、言動が常に受け身になってしまうのです。
反抗期がない
反抗するということは、自分の意思をしっかりと持っているからこそできることです。
親に反抗せずになんでも言うことを聞く子どもは、一見手のかからないいい子だと感じるかもしれません。
しかし、「どうせ自分の意見は聞いてもらえない」「私の希望は認めてもらえない」と抑圧されたマイナスの感情を無意識の内に溜め込んでしまい、自分の意見を持つことを諦めてしまっている可能性もあるのです。
感情表現が乏しく自己主張が苦手
親の期待に応えることを優先していると、自分の本当の気持ちや希望を抑えこんでしまうようになります。
そのため、「嬉しい」「悲しい」といった感情を素直に表現できなかったり、自分の希望をうまく伝えられなかったりするため、自己主張が苦手になってしまうのです。
親の指示がないと不安
常に親の言う通りに行動することに慣れすぎてしまうと、親の指示がないと何をすればよいのかわからなくなってしまい、過度に不安を抱くようになってしまいます。
いい子症候群の子どもにとっては親の期待に応えることが最も重要なため、親からの指示がないと期待に応えることができず、自分が認められないといった恐怖を感じてしまう子もいるのです。
自分で物事の決断ができない
親の気持ちを優先することが当たり前になっていると、自分の気持ちがわからなくなってしまい、自分で物事を決断することができなくなってしまいます。
物事を決める基準が常に「どう答えたらお母さん・お父さんに喜んでもらえるか」と親優先になってしまうため、自分がどうしたいのかを考えることがなくなってしまうのです。
いい子症候群になってしまう原因
子どもがいい子症候群になってしまうのはどのような原因が考えられるのでしょうか。
具体的に紹介していきます。
「当てはまるかも」と感じた親御さんは、お子さんと接する際の参考にしてくださいね。
親の価値観を押しつけている
親の価値観を一方的に押しつけられて意見を聞いてもらえないことが続くと、子どもは自分の気持ちを伝えようとしなくなってしまいます。
どうせ自分の意見は聞いてもらえないといった諦めの気持ちから、自分に自信を持てなくなり、親の価値観通りにしか行動できなくなってしまうのです。
厳しいルールを守らせる
親が決めたルールが厳しすぎて、それを守れなかったときに叱責されることが多いと、子どもはルールを守ることばかり意識してしまい、自分の自由な発想は生まれなくなってしまいます。
行動する時はルールに違反していないかばかりを基準にするようになってしまうため、自由に行動することにとても不安を感じるようになるのです。
子どもに期待しすぎている
親からの期待が大きければ大きいほど、子どもはその期待に答えられなかったらどうしようといった不安を抱えることになり、過度に失敗を恐れるようになってしまいます。
少しでも親の期待に添えないようなことがあると、自分はどうせダメな子だと自分を責めてしまい、自己肯定感が極端に低くなってしまうことにつながります。
親が完璧主義である
親が完璧主義であると、子どもにも完璧を求めてしまいがちです。
失敗してしまったときや親が求める通りにできなかった時に子どもを責めてしまうことで、子どもは失敗を恐れて、完璧にできないようなことには挑戦しなくなってしまいます。
過度に叱ることが多い
ちょっとしたことでも叱られることが多いと、子どもは親に叱られないためにはどうしたら良いかを重視するようになります。
親に叱られないようにするために自分の考えや希望を押さえ込むようになり、自己主張ができなくなってしまうのです。
いい子症候群は将来どんな大人になりやすい?
いい子症候群として育ってきた子は、成長して大人になってからもさまざまな場面で生きづらさを感じるようになってしまう傾向があります。
いい子症候群になってしまった子どもは極端に自己肯定感が低いため、大人になってからも自分を自分で認めてあげることができず、環境にうまく馴染めなかったり突然怒り出すなどの問題行動を起こしてしまったりしやすいのです。
また、周りの人から「いい人」だと思われようとする癖がついてしまっているため、上司や目上の人からは良く思われようと良い態度をとる一方で、自分を評価してくれないと感じた人には冷たく当たるなど、人によって態度を変えてしまうことにより人間関係の構築に問題を抱えやすくもなります。
いい子症候群にしないために親ができること
子どもをいい子症候群にしないために、親はどのようなことに気をつけて子どもに接したらよいのでしょうか。
子育てで意識しておきたいポイントを紹介します。
子どもの気持ちを受け止め、尊重する
まず最も大切なことは、子どもの気持ちをしっかりと受け止め、尊重してあげることです。
たとえ親の考えと違ったことを子どもが言ってきたとしても、頭ごなしに否定するのではなく、自分の気持ちをしっかりと伝えられたことをまずは認め、受け止めてあげるようにしましょう。
子どもの意見を尊重したうえで、親として伝えるべきことはしっかりと伝え、子どもと一緒に物事を決めていく姿勢を見せてあげることが大事です。
子どもに考えさせて決断させる
親は子どもを心配するあまり、子どもが失敗しないために何かと先回りしてしまうことも多いでしょう。
しかし、子どもは自分で考えて納得した上で行動することの繰り返しで成長していくものです。
親が答えを教えてしまいたくなるような時でも、まずは「◯◯はどう思う?」と子どもに考えさせて判断させることが大切です。
ルールを厳しくしすぎない
親の決めるルールを厳しくしすぎないことも重要です。
子どもをきちんと躾けなくてはと思うあまり、厳しいルールや大人の理想を押しつけてしまうと、子どもは自分で物事を考えることがなくなってしまい、ルールがないと何もできないようになってしまいます。
また、厳しすぎるルールはそれが守れなかった時に怒られる恐怖心を抱いてしまい、子どもを萎縮させてしまうため、子どもが守れるようなルールを一緒に考えて決めていくとよいでしょう。
子どもの失敗や負の感情も受け止める
子どもが失敗をした時は、まずは失敗して辛い思いをしている子どもの気持ちをしっかりと受け止めてあげるようにしましょう。
「どうしてそんなことをしたの」「だから言ったでしょ」というように責めてしまうと、子どもは辛かった気持ちを素直に伝えることができなくなってしまい、負の感情を自分の中に溜め込んでしまうようになります。
辛い・痛い・怖いなどのマイナスの感情も伝えても大丈夫なのだと安心感を与えてあげることで、自分の気持ちを素直に表すことができ、物事に挑戦しようと前向きに思えるようになっていくのです。
完璧な親になろうとしない
親自身が完璧な親でいようとするあまり、子どもの失敗が親の失敗であるかのように恐れてしまっていることはないでしょうか。
親自身がいい子症候群を引きずっているケースや、過度にいい子でいることを求めてしまっている可能性もあります。
親も完璧であろうと気負いすぎず、失敗やダメなところも含めてありのままの姿を子どもに見せることで、子どもも失敗しても大丈夫なのだと思えるようになり、そのままの自分で良いと自信を持てるようになるでしょう。
いい子症候群とは?|まとめ
親は子どもの幸せを考えれば考えるほど、つい口出しをしたくなったり、先回りして失敗しないように子どもを導こうとしたりしがちです。
しかし、子どもをいい子症候群にしないためには、子どもを一人の人間としてしっかりと尊重し、子どもの自主性に任せて見守る姿勢を徹底することが大切です。
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