ICT教育という言葉を耳にしたことがある人は多いと思いますが、その具体的な内容を把握できている人はまだ少ないのではないでしょうか。
ICT教育とは、情報通信技術を活用する教育方法で、近年さまざまな教育現場で取り入れられています。
今回の記事では、ICT教育のメリット・デメリットから、ICT教育の必要性や活用事例について解説していきます。
ICT教育についてしっかりと理解し、お子さんの教育に活かしていけるように、ぜひ最後までお読みください。
ICT教育とは?
ICT教育とは、「Information and Communication Technology」の略で、情報通信技術を意味しています。
具体的には、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などのICT機器を用いて情報通信技術を活用していく教育です。
生徒の学習体験を豊かにし、教育の質を向上させることを目的として、海外では早くから導入が進んでおり、日本国内でも2018年から文部科学省が「教育のICT化に向けた環境整備5ヵ年計画」に取り組み始めました。
情報化社会が急速に進み、膨大な情報から必要な情報を正しく収集し、取捨選択していく能力は今後ますます重要となってきます。
ICT教育はこのような背景からもますます注目を集めているのです。
ICT教育のメリット
教育の質を向上させ、情報化社会で活躍できる人材を育てるICT教育は、生徒にとっても教員にとってもさまざまなメリットがあります。
ICT教育にはどのようなメリットがあるのか、具体的に解説していきます。
情報活用能力の向上
現代の情報化社会では、子どもの頃から情報活用能力を高めておくことが大切になってきています。
インターネットを活用する上でのマナーやルール、SNSを活用するときの注意点など、情報リテラシーを早くから知っておくことは、自分自身を守ることにもつながることを理解しておくことが重要なのです。
生徒のモチベーションを高める
普段の授業が退屈だと感じている学生も、動画や音声などを活用した授業では興味や関心が高まりやすいという調査結果があります。
また、それぞれの興味や関心に合わせた学習を取り入れることも可能です。
また、ICT教育を活用した授業では、活用していない授業よりもテストの結果が良くなるという結果も出ており、生徒のモチベーションを高めるために役立っているといえるでしょう。
参考:文部科学省HP |「教育の情報化に関する手引き」検討素案 (opens new window)
授業の効率化
ICT教育により、アニメーションや動画を活用したわかりやすい授業展開が可能となりました。
全てを黒板に板書して進めるよりも、プロジェクターを活用して投影することで時間短縮になったり、アニメーションや動画を活用することで、よりリアルな映像として記憶に残りやすく理解を深めることができるようになったりします。
教員の負担軽減
ICT教育によりデジタル化することで、教員の負担も軽減することができます。
紙でプリントを用意したり配ったりする時間を短縮できたり、インターネットを利用して早く情報を集め、教材作成の時間も短縮できたりするのです。
授業の準備時間を短縮することで、より充実した授業内容を考えることができたり、新しい取り組みを検討したりと、教育全体の質を向上させることにもつながります。
学校・子ども・保護者間のスムーズな情報共有
ICT機器を活用することで、教員と子どもだけではなく、保護者との連携もスムーズにできるようになります。
例えば、紙やノートで行っていた情報共有や出欠確認なども、データ配信にしたりアプリでの管理にすることで、準備や保護者とのやりとりにかかる時間を削減できます。
情報を一括管理することで、生徒の様子をよりリアルタイムに学校と保護者間で共有することが可能になるのです。
ICT教育のデメリット
さまざまなメリットのあるICT教育ですが、いくつかのデメリットもあります。
今後ますますICT教育が普及していく中で、どのようなことに気をつけておく必要があるのか、ICT教育のデメリットについて紹介していきます。
デジタル格差の問題
ICT教育の普及には、地域差が生じてしまっているのが現状です。
都会の学校では一早く最新の機器が導入されている一方、山奥にある学校などではインターネット環境が整備されていない地域もあり、ICT教育の導入が遅れている学校も多くあります。
このように、地域や学校によって子どもが受けられる教育が異なるデジタル格差が生じてしまう可能性があるのです。
デジタル格差を大きくしないためにも、全国的に早急なインフラ整備を行っていく必要があります。
導入コストがかかる
ICT教育の導入には、多くのコストがかかります。
まずネットワーク環境を整備し、デバイスやソフトウェアを用意する必要があります。
それに加え、定期的なデバイスの修理費用や、保守・運用に係る費用など、多くのコストがかかるのです。
学校や地域によっては負担が大きいと感じることも多いでしょう。
プライバシーとセキュリティへの懸念
生徒の情報をインターネット上で管理することで、生徒のデータプライバシーやセキュリティに対する懸念も存在します。
情報を使用する教員や生徒のリスク管理を徹底することに加え、使用するICT機器のセキュリティ設定が適切かを必ず確認し、必要であればセキュリティシステムの導入を検討する必要もあります。
常に安心してICT機器を使用できるように、細心の注意を払う必要があるでしょう。
情報過多による想像力の低下
ICT教育により情報過多になることで、子どもの想像力の低下も懸念されています。
動画や映像はすぐに内容を理解しやすいメリットがあるものの、言葉を使って表現したり、言葉から物事を読み取ったりする機会が減ってしまうため、想像力やイメージする力が弱くなってしまう可能性があるのです。
また、情報に触れている時間が長くなることで、自分の頭でじっくりと考えたり空想したりする余白の時間が少なくなっているとも言われています。
ICT教育によって、子どもが伸ばすべき想像力や思考力を失わないように、バランスを考えて取り入れていくことが大切です。
文部科学省のICT教育への見解
文部科学省は、これからますます加速する情報化社会で活躍するための力を育むために、ICT教育の質を向上させる重要性を認識しています。
文部科学省の調査によると、ICT教育を取り入れてから、「楽しく学習することができた」「コンピュータを使った授業はわかりやすい」など、約8割の児童生徒が授業について肯定的に評価していることがわかりました。
また、教員からも、ICT教育を活用した授業は、生徒の意欲や理解を高めたり、思考を深め広げたりすることに効果的であると評価している意見が多く出ています。
ICT教育は、これからの未来で活躍するために必要なスキルを養うための効果的な手段とされているのです。
参考:文部科学省HP|学びのイノベーション事業実証研究報告書 (opens new window)
教育現場で活用されているICT機器
実際の教育現場では、既にさまざまなICT機器が活用されています。
中でも、多くの学校で取り入れられ、授業や日々の学習に活用されているICT機器について紹介していきます。
電子黒板
電子黒板は、教育の情報化を実現するために、早い段階から多くの学校に導入されてきた機器です。
アナログな黒板に比べて、資料の共有がしやすかったり、授業の準備や進行が効率化できたりするメリットがあります。
現在、電子黒板には多くの機種があり、設置場所やめざす学び方に適したものを選ぶことが重要です。
生徒の学びをより充実させるために、実際の活用場面をしっかりと想定して機器の選定をしていくことが必要といえるでしょう。
タブレット・PC端末
2019年12月に、文部科学省が提唱した「GIGAスクール構想」により、児童生徒1人1台の端末利用や、高速大容量の通信ネットワークの整備が勧められています。
2023年10月に文部科学省が公表した調査結果によると、2023年3月1日時点で、全国の公立学校における児童生徒1人あたりの教育用コンピュータ台数の平均値は1.2台で、全都道府県では1.0台以上となっています。
参考:文部科学省|令和4年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要) (opens new window)
1人1台端末を使用することで、生徒1人ひとりの特性や進度に合わせた学習展開や、学習ツールを活用したわかりやすい授業が可能となっています。
ICT教育のメリット・デメリット|まとめ
今回の記事では、ICT教育のメリット・デメリットから、ICT教育の必要性や教育現場での導入事例を紹介してきました。
ICT教育を上手に活用することで、授業内容の充実や効率的な学習が可能となります。
ICT機器は、今後も教育現場でますます活用されていくでしょう。メリットとデメリットをしっかりと認識した上で、上手に学習環境に取り入れていきましょう。
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