2018年に学校教育法等の一部を改正する法律が成立し、検定済み教科書の内容を電磁的に記録したデジタル教科書(タブレット)の利用が可能となりました。
2023年には公立小学校でのタブレット端末の導入率が96.5%にまで上昇し、義務教育においてもタブレット端末は必須のデバイスとなりつつあります。
実際にご家庭でもタブレット端末を利用してオンライン学習に取り組んでいるお子様は多いのではないでしょうか。
本記事では中学生がタブレット学習を行うメリットやデメリット、上手に学習を進めるコツについて解説します。
記事の後半ではタブレット学習に向いている中学生の特徴も紹介しているため、日々の家庭学習を行う際の参考にしてください。
中学生がタブレット学習を行うメリット

中学生がタブレット学習を行う主なメリットは以下の3つです。
・理解度が上がる ・効率化につながる ・自主性向上につながる
それぞれ詳しく解説します。
メリット①理解度が上がる
中学生になると小学校のときと比べて学習範囲が大幅に広くなるため、理解が追い付かないお悩みの生徒や親御さんが増える傾向にあります。
従来の教科書のような紙の教材にも図解や解説が付いていますが、応用力が身に付いていない中学生だと理解が難しいケースが少なくありません。
その点、タブレット学習であれば動画やアニメーションを上手に活用して説明してくれるため、紙教材に比べて理解度が上がりやすい点がメリットの1つです。
たとえば、英語であればどのようなシチュエーションでよく使われるフレーズが理解できるため、視覚的・聴覚的な理解が深まります。
学校の教師や塾の講師の解説を動画で視聴できる点もタブレット学習の強みと言えるでしょう。 学校の授業はカリキュラムに則って進んでいくため、理解できないとそのまま放置してしまう恐れがあります。
タブレットなら何度でも同じ単元を動画で視聴できるため、一人ひとりの理解度に合った学習ができる点もメリットとなっています。
メリット②効率化につながる
紙教材を用いて学習する際には教科書やノート、辞書、参考書などを机に出し、記入した箇所に間違いがあればその都度消して書き直す必要があります。
タブレットであれば1台に全ての機能が備わっており、準備に手間取ることがないため効率的に学習が進められます。
計算問題に取り組む際は空いたスペースを利用し、間違えればすぐに消してやり直すことが可能です。
またタブレットのなかには間違った問題や苦手分野を抽出する機能が付いており、不得意な分野を集中的に強化できる点もメリットの1つです。
紙教材の勉強でありがちな「何から手を付けて良いのかわからない」「何が理解できていないか分からない」事態に陥りにくく、時間を効率的に利用できます。
スケジュール機能を利用すれば科目ごとの勉強時間もわかるため、時間管理が上手になるメリットもあります。
さらに、タブレット端末があれば空いた時間を利用してすぐに予習・復習ができる点も強みと言えるでしょう。
メリット③自主性向上につながる
中学生の生徒をお持ちの親御さんのなかには、子どもの学習意欲を引き出すのにお困りの方も多いのではないでしょうか。
「勉強しなさい」といってもなかなか机に向かわず、勉強を始めたかと思ったらすぐに他のことに注意が奪われる生徒は少なくありません。
タブレット学習には子どもの興味を引き、学習に取り組みたくなる楽しい工夫が多く盛り込まれています。
動画やイラスト、アニメーション、音楽を駆使してゲーム感覚で取り込める教材もあり、学習の途中で集中力が途切れない点がメリットの1つです。
家庭学習に取り組む時間が増えれば学校での成績が向上し、さらに学習のモチベーションが高くなるといった好循環も期待できます。
タブレットにより個別学習がはかどると、親が言わなくても自分で学習しようという気持ちが芽生え、自主性の向上につながる点もメリットと言えるでしょう。
中学生がタブレット学習を行うデメリット

中学生がタブレット学習を行うことには多くのメリットがありますが、デメリットもあることを知っておく必要があります。
タブレット学習の主なデメリットとしては以下の2点が挙げられます。
・健康に影響する ・故障やトラブルには対処が必要
お子さんの健康トラブルを避けるためにも、タブレット学習に取り組む際の注意点を知っておきましょう。
デメリット①健康に影響する
タブレット学習に長時間取り組んだ際に発生するデメリットとして、以下に挙げる健康への影響が挙げられます。
・認知機能の低下 ・視力の悪化 ・身体的不調 ・精神疾患のリスク
タブレット学習はそもそも学力アップを目的に取り組むケースが多いのですが、長時間の利用で認知機能を低下させる恐れがあるため注意が必要です。
タブレットやスマホなどのデジタルデバイスを利用する時間が長くなると、情報過多により脳が疲労して「デジタル認知症」のリスクが増加すると考えられています。
人間は脳の前頭前野で情報処理を行いますが、情報のインプットにばかり気を取られていると前頭前野の浅く考える機能が酷使されます。
浅く考える機能が酷使されると、ぼんやり考える機能・深く考える機能が使われなくなり、手近な快楽に流されやすくなるのです。
小学校、中学校、高校と年齢を重ねるにつれスマホ依存症が増加するのもそのためです。
タブレット学習を長時間続けると、同一焦点距離や同一姿勢を続けるため視力の悪化、肩こり、腰痛など身体的不調も起こりやすくなります。
目の疲れが慢性的な眼精疲労に移行すると、身体的不調だけでなく精神的不調も併発し、精神疾患のリスクが増加することも分かっています。
デメリット②故障やトラブルには対処が必要
タブレット学習を続ける際には、デバイスが正常に働くよう管理する必要があります。
デバイスが起動しなかったり、途中で動作を止めたりすると、学習が停滞する結果に陥りかねません。
タブレットが故障する原因としては、乱雑に扱ったり机から落としたり、持ち運びの際にぶつけたりする例が挙げられます。
専用のタブレットを配布する学習サービスなら無償で交換が受けられるケースもありますが、代替品が届くまで学習を進めるほかの手段を考えなければなりません。
タブレット学習を始める際には情報端末が衝撃に弱いことを伝え、大切に扱うよう意識させることが重要です。
中学生が上手にタブレット学習を進めるには?
中学生がタブレット学習を進めるうえで意識したいポイントは以下の4つです。
・目標を立てる ・時間を決める ・定期的に振り返りを行う ・紙媒体と良いバランスを保つ
タブレット学習は楽しみながら取り組める点がメリットですが、一方で内容をしっかりと理解していないのに分かった気になり、先へ進んでしまうケースが少なくありません。
そのため、だらだらと勉強するのではなく、時間と目標を設定したうえで集中して学び、定期的に振り返りを行うことがポイントです。
また、明るい画面の見過ぎは目や脳を疲弊させるため、紙媒体とバランスを保ってタブレットを利用しましょう。
タブレット学習に向いている中学生の特徴

タブレット学習にはいくつかのデメリットがありますが、学習を進めるうえで有益である点は疑いありません。
タブレット学習に向いている中学生の特徴としては以下の4点が挙げられます。
- 苦手科目を放置している
- 勉強との両立で忙しい
- 自分のペースで勉強したい
- 勉強の習慣がついていない
それぞれ詳しく解説します。
タブレット学習に向いている中学生の特徴①苦手科目を放置している
タブレット学習のメリットの1つが、自分の苦手なポイントが分かる点です。
紙媒体であれば放置しがちな苦手科目も、タブレットならAIが抽出して何度でも問題を出してくれます。
苦手科目の底上げは得意科目の上積みよりも平均点のアップにつながりやすい点がメリットです。
苦手科目を放置しがちなお子さんには、タブレット学習を勧めてみるのがおすすめです。
タブレット学習に向いている中学生の特徴②勉強との両立で忙しい
中学生になると部活や習い事が忙しくなり、家庭学習の時間を取れないお子さんもいるのではないでしょうか。
親御さんや部活の先生には文武両道と言われるものの、疲れて家に帰ってから教科書やノートを開くのは億劫なものです。
その点、タブレットなら電源を入れればすぐに学習に入れるため、勉強するための準備が最小限で済みます。
また、タブレット学習なら短時間で効率よく知識が身に付く点もメリットと言えるでしょう。
タブレット学習に向いている中学生の特徴③自分のペースで勉強したい
中学生になると学習範囲が広くなるため、学校の授業が進むペースも早くなりがちです。
なかには授業のペースについて行けず、分からない箇所を放置したままのお子さんもいるのではないでしょうか。
タブレット学習であれば周りを気にせず、自分のペースで学習に取り組めます。
動画やアニメーションによる解説もあるため、感覚的に理解しやすい点もメリットの1つです。
タブレット学習に向いている中学生の特徴④勉強の習慣がついていない
中学生になると部活や習い事が忙しく、家庭学習をしないとお困りの親御さんもいるのではないでしょうか。
家庭学習をしないと授業についていけないのはもちろん、定期テストで良い点数が取れなくなり内申書にも響きます。
家で勉強する習慣が身に付いていない生徒にも、タブレット学習はおすすめです。
タブレットなら電源を入れてすぐに楽しく学習できるため、勉強の習慣が身に付きやすくなります。
中学生にタブレット学習は向いてる?まとめ
家庭での勉強にタブレット学習を取り入れると、分からない箇所を効率的に理解したり、自主性を向上させたりする効果が期待できます。
部活や習い事で忙しいお子さんもタブレット学習なら楽しく学べるため、短時間で集中的にやるべき課題を済ませられます。
ただし、タブレットの使い過ぎは脳や目に悪い影響を与えるため、紙媒体とバランスよく使い分けるのがポイントです。
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