英語を用いたコミュニケーション能力を測定するテストとしてよく知られているTOEICですが、中学生が受験するのは早いとお考えでしょうか。
2020年から小学校でも英語教育が必修化されており、早くからTOEICや実用英語技能検定(英検)に興味をお持ちのお子さん・親御さんも増えています。
本記事では中学生がTOEICを受けるメリットやデメリット、および英検との主な違いについて解説します。
記事の後半ではTOEICに向いている中学生の特徴も紹介するため、英語教育や海外留学などに関心がある方は参考にしてください。
中学生のTOEIC平均点は?

TOEICは英語によるコミュニケーションを測るテストで、英語の「Test of English for International Communication」を略したものです。
TOEICには受験資格がないため誰にでも受けられ、12歳以下の場合は受験専用の環境も用意されます。
ただし、TOEICはどちらかといえばビジネスシーンで用いられる英語の習熟度を測る試験のため、中学生の受験率は学生全体のおよそ0.6%と高くありません。
2023年にTOEICを受験した全体の平均得点は612点で、社会人に限ると639点でした。
一方、TOEICを受験した中学生の平均点は490点となっています。
490点は営業部門ではたらくビジネスマンと同レベルのため、かなり高いと言えるでしょう。
ただし、TOEICを受験する学生自体のレベルが高いのであり、中学生全体の英語能力が上がっていると断定するのは早計です。
実際に、全ての中学生がTOEICを受験した場合、200点から300点程度が平均点と考えられています。
中学生がTOEICを受けるメリット・デメリット
TOEICは学校における定期テストとは異なり、ビジネスシーンでの使用を想定した英語の問題が出されます。
そのため、中学生が受験しても意味がないように思われるかもしれません。
しかし、実際には中学生がTOEICを受験するメリットは多くあります。
中学生がTOEICを受けるデメリットと合わせて解説します。
中学生がTOEICを受けるメリット
中学生がTOEICを受ける主なメリットは以下の4つです。
・英語の基礎を固められる ・留学の際に有利に働く ・大学受験に備えられる ・就職の際に強みとなる
中学生がTOEICを受けるためには、まず中学レベルの英語力(英検なら3級程度)を身につける必要があります。
実は中学校で習う英語には基礎となる重要な文法や基礎が多く、TOEICの難しい問題も基礎さえ分かっていれば解けるケースが少なくありません。
逆に考えると、TOEICを受験しようと考える時点で、英語の基礎固めを行う必要があるとも言えます。
高いレベルの試験を志せば、自然と英語の基礎が固まる結果につながります。
中学生のなかには将来の留学を考えている生徒もいますが、英語能力がアップすれば留学の際にも有利にはたらくでしょう。
TOEICとよく比較される試験が英検(実用英語技能検定)ですが、英検が高校入試で有利にはたらくのに対し、TOEICは大学受験や就職の際に重視されます。
中学生のうちから英検とTOEICの両方を見据えておくと、進学や就職のハードルが低くなるメリットがあります。
中学生がTOEICを受けるデメリット
中学生がTOEICを受けるデメリットとしては以下の点が挙げられます。
・日常の英会話が上手になる訳ではない ・レベルが高くて英語嫌いになるリスクがある ・他の学業や活動がおろそかになる
TOEICはビジネスシーンで用いる英語の習熟度を測る試験のため、得点アップしたからといって日常の英会話が上手になる訳ではありません。
問題自体も定期テストに比べると難しく、勉強しているうちに英語嫌いになるリスクがある点も知っておかなければなりません。
また、中学生になると部活や習い事も忙しくなりますが、TOEIC対策ばかりにかまけていると、それらの活動がおろそかになる可能性もあります。
TOEICと英検の違い

TOEICと並び国内でよく知られる英語の試験が英検(実用英語技能検定)です。
両者には大きく以下の違いがあります。
・目的 ・出題分野 ・試験内容 ・認知度
TOEICはビジネスシーンで用いる英語の習熟度を測る目的で行われる試験です。一方、英検は日常会話や一般社会で用いられる英語の習熟度を測るのが目的です。
そのため、TOEICではオフィスや会議、営業などのビジネスシーンで用いられるフレーズや単語が多く出題されます。
英検もビジネス分野から出題されるケースがありますが、日常会話や一般社会で用いられるフレーズや単語などが幅広く出題される点が特徴です。
TOEICの試験内容はリスニング・リーディング・ライティング・スピーキング、適性検査などさまざまです。
英検では一次試験としてリーディングおよびリスニングを行い、1〜3級では二次試験(面接)でスピーキングが行われます。
認知度に関してもTOEICと英検では異なります。TOEICは日本だけでなく世界各国で認知されており、ビジネス英語の習熟度を測るのに最適です。
英検はどちらかといえば日本国内で認知されており、アカデミックな英語能力を測るのに適しています。
TOEICに向いている中学生の特徴
TOEICに向いている中学生の特徴は以下の3つです。
・英語が得意で挑戦したい ・英検2級以上を取得している ・グローバルな進路に進みたい
それぞれ詳しく解説します。
TOEICに向いている中学生の特徴①英語が得意で挑戦したい
英語が得意でチャレンジ精神が旺盛な中学生には、TOEICの受験が向いています。
TOEICでは主にビジネスシーンにおける英語能力が測られるため、中学生には向いていないと思うかもしれません。
しかし、帰国子女や海外での生活が長い中学生であれば、リスニング能力が発達しているため高得点も期待できます。
一般的な中学生に比べて高得点が取れれば、さらに英語学習に対するモチベーションも高まるでしょう。
TOEICに向いている中学生の特徴②英検2級以上を取得している
2012年度の英検の結果によると小学生の2級合格率はおよそ42%、中学生の合格率はおよそ25%です。
2級受験者全体の合格率がおよそ25%、高校生の合格率がおよそ23%であるのに比べると、小学生の合格率はかなり高いと言えます。
年齢が低いほど合格率が高いのは、英語に力を入れているいい生徒しか受験しないためであり、小学生や中学生の英語能力が高い訳ではありません。
しかし、せっかく英検2級(高校卒業レベル)以上の語学力があるのなら、TOEICで力試しをするのもおすすめです。
TOEICに向いている中学生の特徴③グローバルな進路に進みたい
2020年から小学校でも英語教育が必須となり、将来の留学を考えている親御さん・お子さんも多いのではないでしょうか。
スポーツの世界でも海外で活躍する選手が増えており、英語は必須のコミュニケーションツールとなっています。
その点でも、グローバルな進路に進みたい中学生にはTOEICの受験が向いていると言えるでしょう。
TOEICで高得点を獲得しておけば、留学や就職の際にも有利に働くことは疑いありません。
TOEICのおすすめ勉強法|中学生編

TOEICの受験を考えている中学生には以下の勉強法がおすすめです。
・復習 ・単語帳 ・長文読解 ・予想問題 ・オンライン英会話
TOEICに限らず英語の試験を受ける際には基礎が欠かせません。
いきなりビジネス英語を覚えるのではなく、学校で習った内容を復習し、単語帳などで語彙の習得に努めるのがおすすめです。
ある程度の英語力が身についたら、英字新聞などで長文読解能力を高めましょう。最初は難しく感じるかもしれませんが、数をこなすうちに次第に要点がつかめるようになります。
実際にTOEICを受ける前には予想問題に取り組み、出題の傾向を知り対策を立てるのが効率的です。
リスニング対策としては、オンライン英会話を取り入れる方法があります。
中学生でTOEICは早い?|まとめ
TOEICはビジネス英語の習熟度を測る試験のため、一般的な中学生にとっては早いと感じるかもしれません。
しかし、将来グローバルな進路に進みたい中学生には、早いうちからTOEIC対策に取り組むのがおすすめです。
TOEIC対策を進めるうちに基礎的な英語力が身につくうえ、リスニングやスピーキングに対する意識も高まります。
TOEICを受験する際には日々の英語学習にしっかりと取り組み、長文読解やオンライン英会話でレベルアップを図ると良いでしょう。