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【不登校】テストを受けないと卒業できない?お子さんへの対処法は?

文部科学省が行った調査によると、平成30年における小・中学校の不登校児童数はおよそ16万人でしたが、令和4年にはおよそ30万人となっています。

特に不登校の中学生児童を抱える親御さんのなかには、「テストを受けないと卒業できないのではないか」と心配な方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は不登校でテストを受けられなかった場合のリスクや、テストを受けたくないお子さんへの対処法について解説します。

不登校でテストが受けられなかったら?

勉強している女子学生

仮に不登校児童が学校の定期テストを受けられなかった場合、以下のようなデメリットを被る恐れがあります。

  • 進学する学校の選択肢が減る
  • 正確な学力レベルが出ない

ここでは、不登校でテストを受けられなかった場合に生じるリスクについて解説します。

進学する学校の選択肢が減る

多くの高校では受験の合否を入学試験の点数だけでなく、内申書も加味して判断しています。

学力だけが問題であれば入試におけるデメリットを取り戻す方法はいくらでもありますが、出席日数が足りなくなると内申点を大きく下げてしまいます

また、不登校でテストを受けられないと、内申書を作成する際に点数をつけることができません。

私立高校はもちろんのこと公立高校でも内申書を重視しているため、不登校に加えてテストを受けられないと、内申点が大幅に減少するため進学する学校の選択肢が減ってしまうのです。

内申書は主に生徒の知識や技能・思考力・判断力・表現力・学業に対する取り組み方、生活態度などを根拠として作成されます。

定期テストの点数だけで上記のすべてが測れる訳ではありませんが、不登校が続けば学業に対する取り組みや生活態度を評価することができません。

逆に、不登校であっても定期テストだけは受けておくことで、内申点を少しでも高くすることが期待できます。

正確な学力レベルが出ない

定期テストの目的は授業で学んだ知識や技術などがしっかりと身についているかどうかを確認するためにあります。

高得点を獲得できればもちろんそれに越したことはありませんが、正答できなかった点を自分の課題として認識することが重要です。

しかし、不登校で定期テストを受けられないと「何が理解できていて、どこが分かっていないのか」を測ることができないため、正確な学力レベルを算出できません。

学力自体は不登校でも伸ばす方法がいくらでもありますが、定期テストを受けないのであれば、進学塾が主催する模擬試験を受けるなどする必要があります。

正確な学力レベルが分からなければ志望校を決めることもできませんし、そもそも自分が理系に向いているのか、それとも文系に進んだ方がいいのかも判断できません。

そうなると高校入試だけでなく、専門学校や大学を受験する際にも大きなデメリットとなってしまいます。

不登校でも卒業できる?

教室

結論から申し上げますと、不登校であっても定期テストが受けられなくても、中学校を卒業することはできます。

なぜなら、高校や大学とは異なり義務教育の中学生にとって、出席日数は進級や卒業の絶対的な条件ではないからです。

極端な例をあげれば、中学校に入学してから何らかの事情で1日も登校していなくても卒業自体は可能です。

小学校や中学校は義務教育のため「お子さんは学校に行かなければならない」と考える親御さんが多いことも事実ですが、現実は少し異なります。

教育基本法第4条では義務教育について以下のように定めています。

『国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う』

つまり、法律的にはお子さんが学校に行かなければならないのではなく、親がお子さんに学びの機会を与えることが義務付けられているのです。

そのため、仮に不登校で出席日数が少なくても、中学校長の裁量によって進級や卒業を決定することが可能です。

逆に言えば、不登校であったりテストを受けなかったりしたからといって、進級や卒業が認められないことはありません。

そのため「卒業できないからお子さんを学校に行かせなければならない」という考えを持つ必要はありません。

テストを受けたくないお子さんへの対処法

部屋でうずくまっている女性

不登校でも中学を卒業できるからといって、テストを受けないとデメリットがあることに変わりはないため、以下の対処でお子さんの意欲を引き出すことが重要です。

  • 落ち着いてテストを受けられる環境を作る
  • 学校と連携する
  • テスト終わりのご褒美を考える
  • 焦らずゆっくり話をする

ここでは、テストを受けたくないお子さんへの対処法をご紹介します。

対処法①落ち着いてテストを受けられる環境を作る

不登校が続いてテストが受けられなくなると、さらにテストを受けるのが怖いと言った悪循環に陥りがちです。

まずはお子さんの学校に行きたくない気持ちやテストを怖いと思う気持ちを理解し、登校しやすい環境を作ってあげることが第一です。

お子さんが学校に行きたくないと言うと、多くの親御さんは「なぜ学校に行かないのか」と問い詰めがちですが、登校を強制するとはより反発する傾向にあります。

そのため、「あなたの気持ちは理解できるよ」「こうすればうまく行くよ」と強制ではなく、アドバイスをしてあげるとよいでしょう。

不登校を改善するためには、お子さんに 「お父さん(お母さん)は自分のことをよく分かってくれている」と思ってもらうことが欠かせません。

まずはお子さんにとってお父さんやお母さんが絶対的な味方であることを認識してもらいましょう。

その上で「国語と算数どっちの授業なら出られそう?」などの選択肢を与え、少しずつ学校にいられる時間を伸ばしていくのがおすすめです。

対処法②学校と連携する

義務教育の目的は学力を伸ばすことだけではなく、社会の中で自律的に生きるための基礎を培う点にあります。

そのためには親だけが頑張るのではなく、学校や担任の先生と連携してお子さんの成長を見守ることが重要です。

仮にお子さんが学校に行かなくても、学校と連携することで授業の進捗や試験範囲などを確認することが可能です。

学校と連携してそのような準備をしておけば、お子さんの復学もしやすくなるでしょう。

対処法③テストに向けた励ましとテスト後の承認

不登校ではなくてもテストが苦手なお子さんは少なくありません。

そのような場合、テストに向けた「がんばろう!」という励ましと、テスト後の「よくがんばったね!」という承認を保護者の方がしっかりと行うことが重要です。

結果に目を向けるのではなく、まずはチャレンジすることを促してあげることがもっとも大切なので、保護者の方と二人三脚でテストに臨むことがベストです。

定期テストを受けられるようになったお子さんには、徐々に目標設定などの結果重視につなげていくことをお勧めします。

対処法④焦らずゆっくり話をする

お子さんがテストを受けたくないと言ったら頭ごなしに叱るのではなく、焦らずゆっくり話をしましょう。

テストを受けるのはあくまでもお子さんの将来のためであり、親御さんの不安を解消するためではありません。

そのため、テストを受けるよう無理強いするのではなく、お子さんからの「ヘルプ」を感じ取って、適切なサポートをする必要があります。

お子さんも不登校やテストを受けられないことに苦しんでいるので、焦らずにお子さんからのヘルプを待つことも大切だと覚えておきましょう。

不登校でも高校受験はできる

受験の様子

先述の通り出席日数は進級や卒業の条件ではないため、不登校でも高校受験はできます。

高校のなかには出席日数ではなく学力を重視する学校や、不登校の児童に対応した通信制・定時制の高校などもあります。

ただ、内申点を見ている一般的な全日制の高校では不利になる場合もあることを知っておいてください。

不登校でテストを受けないとどうなる?まとめ

不登校でテストを受けられないと、以下2つの大きなデメリットがあると分かりました。

  • 進学する学校の選択肢が減る
  • 正確な学力レベルが出ない

義務教育のうちに不登校になってしまうと将来が心配になりますが、出席日数が足りないからといって中学を卒業できないことはありません

親御さんとしては心配が尽きませんが、今回ご紹介した方法を参考にお子さんに寄り添い、少しでも学校に足が向くようサポートしてあげるとよいでしょう。

不登校になっても学校の授業についていきたい方には、オンラインでトップ講師の授業が受けられる学研オンエアもおすすめです。

山下彰洋
山下彰洋

Gakken ON AIR塾長。塾講師歴22年。迫力満点の熱血授業。わかりやすさだけではなく「考え方」を重視した授業スタイルが人気。算数・数学講師、教室長、研修課長、教務課長を歴任し、現在は学研にてオンライン学習塾の事業責任者を担当。