1999年に全国で初の公立中高一貫校が設立され、2021年には135校にまで増えています。
公立中高一貫校が増えている背景の1つが、過熱する一方の高校受験に対する懸念です。
1990年代には、高校受験を苦に中学生が自らの命を絶つ痛ましい事件があったことをご記憶の方もいるでしょう。
公立中高一貫校に合格すると高校受験に備える必要がないうえ、私立に比べて学費の面で経済的な負担が軽いメリットがあります。
ただし、公立中高一貫校に合格するためには学力以外の能力や特性も問われることを知っておかなければなりません。
本記事では公立中高一貫校生に向いている子の特徴や私立との違い、および受験内容などを解説します。
公立中高一貫校への入学を検討している生徒や親御さんは参考にしてください。
公立中高一貫校について

公立中高一貫校はその名の通り、中学・高校が連携して6年間の一貫教育を行う学校です。
私立の中高一貫校と同様に高校受験の心配がなく、その分の時間を学業や部活などに充てられる点がメリットの1つです。
また、大学受験に関しても高校受験組よりも十分に対策できる時間があります。
ここでは、公立中高一貫校について、公立中学や私立との違いを解説します。
公立中学との違い
公立中高一貫校と一般的な公立中学との大きな違いは入学方法です。
一般的な公立中学は基本的に誰でも入学できますが、公立中高一貫校は入学者選抜に合格しなければなりません。
カリキュラムに関しては、一般的な公立中学は学習指導要領の範囲内で授業が進められますが、公立中高一貫校では大学受験を見据えて独自のプランを策定するケースがあります。
公立中高一貫校では高校受験の必要がありませんが、一般的な公立中学生は公立、もしくは私立の横行を受験する必要があります。
私立との違い
公立中高一貫校と私立中高一貫校では、受験システムに違いがあります。
私立中高一貫校では算数・理科・国語・社会の4教科を中心とした学力試験が課されますが、公立中高一貫校では教科横断型の試験が中心です。
具体的には公立中高一貫校では会話文から自分の考えを書き出したり、統計資料から答えを導き出したり、柔軟な思考能力や判断能力が求められます。
公立中高一貫校と私立中高一貫校では授業料も異なります。
公立中高一貫校に関しては中学校の3年間は無償ですが、私立中高一貫校では年間平均で47万円ほど必要です。
公立中高一貫校に入学するメリット・デメリット

公立中高一貫校に入学するメリットは以下のとおりです。
- 学校独自の学習プログラムが受けられる
- 高校受験の負担がない
- 大学受験に備えるための時間が多くとれる
- 私立中高一貫校に比べて学費が抑えられる
公立中高一貫校では私立中高一貫校と同様に学校独自の学習プランが受けられるため、将来の目標が決まっている生徒にはメリットとなります。
高校受験の負担がなく、その分を大学受験対策に充てられる点も、公立中高一貫校に入学するメリットといえるでしょう。
また、私立中高一貫校に比べて学費の負担が少ない点も魅力の1つです。
公立中高一貫校に入学するデメリットは、以下の点が挙げられます。
- モチベーションの維持が難しい
- 授業のレベルが高い
- 受験対策が必要
- 環境適応能力が必要
公立中高一貫校では高校受験に備える必要がありませんが、その分なかだるみが生じ、学習を続けるモチベーションが低下する恐れがあります。
一般的な公立中学に比べると授業のレベルが高いため、場合によっては進学に際してレベルの低い高校への入学を検討する必要があるでしょう。
公立中高一貫校への入学を検討する場合、小学校の早い段階から受験対策に取り組む必要があります。
また、公立中学に進学する場合と比べて友人や顔見知りが少なく、環境適応能力が求められる点も子供によってはデメリットといえるでしょう。
公立中高一貫校の受験内容

公立中高一貫校では以下の試験が実施されるのが一般的です。
- 適性検査
- 報告書
- 作文
- 面接
それぞれについて解説します。
公立中高一貫校の受験内容①適性検査
公立中高一貫校では一般的な公立中学とは異なり、適性検査が合否を判定する際の基準の1つです。
適性検査では思考能力や判断能力が問われるほか、学校によっては英語のリスニングを行うケースもあります。
出題は小学校で習う範囲からですが、応用力が問われるため基礎的な学力を身につけておくことが重要です。
また、時事問題が問われるケースもあるため、普段から新聞に目を通す習慣を身につけておくのもおすすめです。
公立中高一貫校の受験内容②報告書
報告書(調査書)は小学校での生活態度や活動状況を記録した書類で、適性検査と並び公立中高一貫校では重視されています。
報告書は5年時・6年時もしくは6年時を対象とするケースが多いですが、なかには4〜6年の3年間が対象となるケースもあるため注意が必要です。
公立中高一貫校を受験する際の報告書は、中・高における内申書をイメージするとわかりやすいでしょう。
報告書の重要度は受験する学校により異なりますが、適性検査と報告書の比率を8:2程度に設定する学校が多い傾向にあります。
公立中高一貫校の受験内容③作文
公立中高一貫校によっては、入学者選抜の際に作文を課すケースもあります。
作文の内容としては志望動機や生徒の興味・関心などを300〜450字程度で説明するのが一般的です。
作文でつまずかないためには普段から長文を要約したり、テキストに取り組んだりするのがおすすめです。
起承転結を意識して相手にわかりやすいよう、規定の文字数内で説明する練習を何度も繰り返しましょう。
公立中高一貫校の受験内容④面接
公立中高一貫校のなかには面接を実施する学校もあります。
面接の方法は主に以下の3つです。
- 個人面接…面接官と1対1でおこなう
- 集団面接…複数人の生徒と一緒に面接を受ける。生徒同士の話し合いが求められるケースもある
- 親子面接…親子が一緒に、もしくは別々に面接を受ける
当日になって緊張しないよう、事前にシミュレーションしておくのがおすすめです。
公立中高一貫校に向いている子の特徴

公立中高一貫校には次のような子供が向いています。
- 基礎的な学力が高い子
- 論理的思考能力が高い子
- 学校行事に積極的に取り組む子
- リーダーシップを発揮できる子
- 文章能力が高い子
それぞれについて解説します。
公立中高一貫校に向いている子の特徴①基礎的な学力が高い子
公立中高一貫校に入学するためには、基礎的な学力が不可欠です。
いくら勉強に対するモチベーションが高くても、やる気だけでは中高一貫校に合格するのは難しいでしょう。
公立中高一貫校の適性検査では総合的な能力が問われるため、土台となる基礎的な学力が欠けていると太刀打ちできません。
公立中高一貫校の受験を考えている方は、早い段階で対策を始めることが大切です。
公立中高一貫校に向いている子の特徴②論理的思考能力が高い子
論理的思考能力も、中高一貫校の適性検査で問われます。
例えば文章題では自分の考えをまとめて説明する必要があるため、論理的かつ他者に伝わるような主張が求められます。
ダラダラと長い文章を書くのではなく、「AだからB、そのためCだと私は考えます」など、論理的に説明できる能力を身につけておきましょう。
公立中高一貫校に向いている子の特徴③学校行事に積極的に取り組む子
公立中高一貫校では学力だけでなく、小学校での生活態度や活動状況も問われます。
基礎的な学力は問題なくても、学校行事へのかかわり方が消極的だとマイナス材料になると覚えておきましょう。
欠席せずに真摯に学業に取り組むのはもちろん、授業中に積極的に発言する姿勢も求められます。
公立中高一貫校への入学を考えている方は、生徒会やクラブ活動などにも積極的に参加しましょう。
公立中高一貫校に向いている子の特徴④リーダーシップを発揮できる子
公立中高一貫校では、リーダーシップを発揮できる子供に入学して欲しいと考えています。
クラスの代表を務めたり、クラブ活動でほかの生徒を引っ張ったり、リーダーシップを発揮できる生徒は報告書での評価が高くなります。
実際に公立中高一貫校にはリーダーシップを持つ生徒が多いため、積極性に欠けると入学してから個性を発揮できなくなるため注意が必要です。
受験勉強にだけ取り組むのではなく生徒会やクラブ活動などを通して、自分が公立中高一貫校に向いているのか確認するのも大切なポイントです。
公立中高一貫校に向いている子の特徴⑤文章能力が高い子
公立中高一貫校に入学するためには、文章能力を磨いておくことも大切です。
適性検査では記述式の問題が多く出されるため、考えを端的に文章として表現する能力が求められます。
問題文自体も長文が多いため、普段から読書に親しみ読解力を高めておくのも大事なポイントです。
普段から新聞を読み、プロの文章作法を学んでおくのもおすすめです。
公立中高一貫校の受験対策なら学研オンエアがおすすめ
公立中高一貫校では基礎的な学力はもちろん、論理的な思考能力や文章能力が求められます。
基礎的な学力の底上げには家庭での学習が不可欠ですが、勉強習慣をつける際におすすめの方法が学研オンエアでの学習です。
学研オンエアではトップ講師の授業がリアルタイムで受けられるため、自宅で机に座って勉強する習慣を身につけやすくなります。
また、無料で利用できる自習室ではオンラインで同じ目標を持つ仲間と触れあえるため、学習に取り組むモチベーションを維持しやすいのもメリットの1つです。
公立中高一貫校に向いている子の特徴|まとめ
公立中高一貫校に入学すると高校受験の負担がなく、その分の時間を学習や部活、大学受験対策に利用できる点がメリットの1つです。
入学の際には適性検査が行われるため、基礎的な学力はもちろん論理的な思考能力や文章能力も求められます。
また、多くの学校でリーダーシップが求められるため、小学校の行事や授業、生徒会、クラブ活動などに積極的に参加する姿勢も必要です。
基礎的な学力アップや応用力を鍛えたい方には、リアルタイムでトップ講師の授業が受けられる学研オンエアがおすすめです。