不登校の中学生の数は年々増加傾向にあり、学力だけでなくコミュニケーション能力の低下を招くため親御さんにとっては心配の種ではないでしょうか。 本記事では中学生が不登校になる3つの理由や問題点について解説します。
そこで今回は、中学生で不登校になる原因や対処法について解説しました。 さらに、中学生で不登校は多いのかについて実際のデータをもとに説明していくので、参考にしてください。
中学生の不登校について
お子さんが不登校になってしまうと、「うちの子だけ不登校なのではないか」などのように、不安になってしまう方が多いかと思うのですが、実は不登校の生徒は年々増えています。
文部科学省の調査データによると小・中学校における不登校の児童生徒数は19万6,127人と、約20万人もの生徒が不登校という状況です。
不登校の詳細は以下のようになっています。
不登校の中学生の人数:127,922人
不登校の中学生の割合:3.9%
不登校の小学生の割合:0.8%
参照:令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について (opens new window)
上記のデータは、国公私立小・中・高・特別支援学校や都道府県教育委員会・市町村教育委員会を始め、都道府県・市町村教育委員会などを対象に、以下8つの項目で調査されています。
いじめ
出席停止
小/中学校の長期欠席
高等学校の長期欠席
高等学校中途退学等
自殺
教育相談
不登校の定義
そもそも不登校とはどういう状況のことを言うのか、曖昧な方が多いと思います。
文部科学省は不登校の定義を以下のように定めています。
参考:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/03070701/002.pdf (opens new window)
上記より、心理的・情緒的・身体的・社会的要因や背景が原因で、年間欠席日数が30日以上の生徒のことを不登校と定めています。
1~2週間学校に行けなかった、という状況はまだ不登校とは言えないので大きな心配はしなくて大丈夫です。
不登校の中学生の割合
文部科学省が行った調査によると、平成30年における小・中学校の不登校者数はおよそ16万人でしたが、令和4年にはおよそ30万人となっています。
中学生の不登校者数はおよそ13万人で、中学生全体で見るとおよそ4%に該当します。
クラスで1人〜2人が不登校状態にある計算になるため、決して楽観視して良い数字ではないと言えるでしょう。
文部省が不登校に関する調査を開始してから児童数は減少しているものの、不登校の生徒数は増加の一途をたどっています。
そのため、子どもがなぜ不登校になるのか理由や前兆を知り、適切に対処することが重要です。
中学生が不登校になる3つの理由
中学生が不登校になる理由はじつにさまざまで、多くの例でいくつかの原因が複雑に絡み合った結果として不登校に陥っているのが現状です。
しかし、中学生が不登校になる理由を大きくまとめると以下の3点が挙げられます。
- 心身の不調
- 人間関係の悩み
- 授業についていけない
はじめに、中学生が不登校になる3つの理由について知っておきましょう。
中学生が不登校になる理由①心身の不調
中学生が不登校になる理由としては心身の不調が挙げられます。
冒頭でもお話したように、大きな病気などが原因で年間に30日以上欠席したとしても不登校には該当しません。
しかし、病気がきっかけで学校を休みがちになり、その結果、登校に対する意欲を失うケースは少なくありません。
病気がきっかけで生活リズムが乱れると、学校に行く時間になっても布団から起き上がれなくなる生徒もいます。
生活リズムの乱れは本人の意識の問題だけでなく、病気が原因となるケースもあると知っておきましょう。
中学生が不登校になる理由②人間関係の悩み
心身の不調のなかでも問題視されているのが **「いじめ」や「友人関係の悩み」**です。
なかでもいじめを除く友人関係の悩みが原因の不登校の割合は、全体のおよそ11.5%と高い点が目を引きます。
直接的ないじめが原因の不登校はおよそ0.2%と低く、親や教師が把握できない人間関係の悩みで不登校になる中学生が多いと分かります。
また「クラブ活動や部活に適応できない」「先生との関係がうまくいかない」なども中学生が不登校になる理由の1つです。
中学生が不登校になる理由③授業についていけない
中学生が不登校になる理由のおよそ半分は、学校や授業に対する無気力や不安です。
ただし、何に対して無気力・不安になっているのかは生徒によりさまざまです。
例えば授業についていけなくて不登校になる児童は、全体のおよそ6%とされています。
また、進路に関する悩みのため不登校になってしまう生徒もおよそ1%います。
中学生が不登校になる理由をまとめると以下の通りです。
以下「親子の関係」「入学・進級への不適応」「家庭環境の急激な変化」と続きますが、1つの原因ではなく いくつかの要因が複雑に絡み合った結果として、不登校に至るケースが多いと知っておいてください。
参考:https://www.mext.go.jp/content/20221021-mxt_jidou02-100002753_2.pdf (opens new window)
中学生の不登校にともなう問題点
中学生が不登校状態に陥ると、主に以下3つの問題が生じます。・学力の低下 ・内申点が下がる ・受験に影響が出る
ここでは、中学生の不登校によって生じる3つの問題点について解説します。
中学生が不登校にともなう問題点①学力の低下
中学生が不登校に陥った際に生じる問題の1つが学力の低下です。
小学生と比べ中学生になると学ぶべきことが飛躍的に増加するため、数日休むだけでも他の生徒は先に進んでいってしまいます。
ましてや年間に30日以上の欠席となると、取り戻すのに大変な努力を要することは言うまでもありません。
また、学力の低下により授業についていけなくなり、さらに学校を休みがちになるといった悪循環に陥る可能性もあります。
中学生が不登校にともなう問題点②内申点が下がる
高校受験をする際には入試の結果だけでなく、中学校の内申点も重要視されます。
2021年以降、内申点に関しては以下の3項目が評価基準となっています。
- ・知識・技能
- ・思考・判断・表現
- ・主体的に学習に取り組む態度
不登校になると上記の項目のうち「主体的に学習に取り組む態度」が評価されなくなるため、内申点が下がる結果となります。
中学生が不登校にともなう問題点③受験に影響が出る
中学生が不登校になると、前述の通り内申点が下がるため、受験に際してデメリットが生じます。
不登校の期間が長くなれば、授業内容についていけないため基礎学力が低下する恐れもあるでしょう。
内申点を上げるためには定期テストで良い点数を取る必要があるため、 不登校が続くと受験に大きな影響が出てしまいます。
また、受験に影響が出るというプレッシャーで、さらに学校に行きたくなくなるといった悪循環に陥るケースもあります。
中学生の不登校に前兆はある?
中学生が不登校に陥る前に、次のような前兆が見られるケースもあります。・会話が減る ・なかなか登校しない
不登校が大きな問題になる前に、子どもに上記のような変調が見られないか確認しておきましょう。
中学生の不登校の前兆①会話が減る
子どもが家庭で学校の話をしなくなってきたら、不登校の前兆の可能性があります。
中学生は反抗期の真っただ中にいるため、元から会話が少ない方はさらに注意が必要です。
こちらから学校の話を振っても避けたり、話題を変えたりするようであれば、何かしらの悩みを抱えている可能性も疑われます。
家庭での子どもの口数が減ってきたら、親御さんの方から話しかけてあげましょう。
中学生の不登校の前兆②なかなか登校しない
不登校の前兆は心身の不調としてあらわれるケースも多いです。
例えば以下のようなケースに当てはまる場合、不登校の前兆があらわれているのかもしれません。
・朝になっても布団から出られない ・登校しようとすると具合が悪くなる
子どもが言葉にして「学校に行きたくない」と言った場合、悩みがかなり深刻になっているため、前兆の段階で対処することが重要です。
不登校の中学生への接し方
中学生が不登校になったら、次のように対処することが重要です。 **・無理に登校させない** **・頑張りを認めてあげる** **・話をしっかり聞く** **・学校以外での勉強法を検討する**不登校の中学生への接し方①無理に登校させない
中学生が不登校になったら、無理やり登校させるのはNGです。
無理に登校させるとかえって悩みを深刻化させる恐れがあります。
子どもが不登校になったら、復学を急ぐのではなく 心身の回復を優先してください。
子どもが外の世界に対して関心を持つよう、親御さんが導いてあげるのがポイントです。
不登校の中学生への接し方②頑張りを認めてあげる
子どもが学校に行きたくないといった場合、悩みはかなり深刻化していると思ってください。
その際に「怠けている」「やる気がない」などと叱咤すると、子どもの居場所がなくなってしまいます。
子どもは「十分に頑張った結果」として不登校状態に陥っていることを忘れてはいけません。
まずは頑張りを認め、家庭を安心できる場所にする必要があります。
不登校の中学生への接し方③話をしっかり聞く
中学生の子どもが不登校になったら、頭ごなしに叱るのではなくまずはしっかりと話を聞いてあげましょう。
多くの子どもはだれにも悩みを相談できず、抱え込んでしまった結果として不登校に陥っています。
先回りしてアドバイスをするのではなく、聞き役に徹することが子どもの心を開くきっかけとなります。
子どもを放置せず、かといって過度に干渉せず、適度な距離感を保つのがポイントです。
不登校の中学生への接し方④学校以外での勉強法を検討する
中学生が不登校になると、親御さんとしては学業面で不安になるのではなないでしょうか。
先述の通り、内申点には「主体的に学習に取り組む態度」も反映されるため、不登校になると内申点が低くなることは避けられません。
ただ、高校によっては内申点が良くなくても入れるケースがあります。
そのため、学校以外での勉強法を検討することも重要です。
おまけ|中学で不登校だと高校受験は難しい?
中学生で不登校だと、高校への進学ができないのではないかと将来について心配する方が多いと思いますが、不登校でも高校に進学することは可能です。
出席日数を点数化して合否の判断材料にしている学校もありますが、当日の試験結果をもとに合否を決めている学校も多くあるので、出席日数に不安のある方は、自宅で勉強をして当日の得点数を上げましょう。
また、高校に進学しても毎日通う自信がないという方は、通信制の高校に進学するという選択肢もあります。
不登校の中学生には学研オンエアがおすすめ!
不登校になると、学力の低下が避けられません。そのため、自宅での学習を習慣化する必要がありますが、おすすめの方法の1つが学研オンエアの利用です。
学研オンエアではトップ講師の授業がリアルタイムで受けられるため、家庭学習を習慣化しやすい点がメリットとなっています。
また、家庭学習で学力を維持しておけば、復学してからも授業内容についていけるようになります。
中学生の不登校、原因と対処法|まとめ
今回は、中学生で不登校の子どもは多いのかについて文部科学省実施の調査結果の説明と、不登校の原因と対処法、そして不登校でも高校に進学することができるのかについても紹介しました。
子どもが不登校になると親御さんの悩みは尽きませんが、焦って復学させるのではなく、まずは子どもの心身の回復を図ることが重要です。
不登校の間の学力低下が心配な方には、自宅でトップ講師の授業が受けられる学研オンエアがおすすめです。
不登校の子どもは心身共に疲れ切ってしまっているので、無理に理由を聞き出そうとしたり、無理に学校に行かせるようなことはしないでください。
保護者が心の支えになってあげたり、カウンセラーを利用したりするなどして、徐々に回復できるように心がけましょう。