やる気が出ない時や忙しい時、つい「ながら勉強」をしてしまうことはありませんか?
「ながら勉強」は集中できなくなると言われる一方、「音楽を聴きながら勉強すると集中できる」「ガムを噛みながら勉強すると頭がすっきりする」という声もあり、意見が分かれるようです。
今回は「ながら勉強」に効果はあるのかどうかを検討します。「ながら勉強」の効率アップ方法や注意点にも触れていますので、よく「ながら勉強」をする人はぜひ目を通してみてください。
通塾時間0のオンライン学習サービス

無料期間中のみの受講もOK
初月無料で受講する「ながら勉強」に効果はあるの?
何か別のことをこなしながら勉強をする「ながら勉強」は、基本的に勉強だけを行うよりも効率が悪いことがわかっています。
まずは「ながら勉強」をマルチタスクと効率の観点から考えていきましょう。
「ながら勉強」=マルチタスク
マルチタスクという言葉を聞いたことがあるでしょうか。一度に複数のタスクを処理することをマルチタスクと呼び、仕事の場などでは効率アップの手段として語られがちです。
しかし、マルチタスクが必ずしも効率的であるとは限りません。それどころか、シングルタスクと比べると各作業の効率は低下してしまうことが、スタンフォード大学の研究 で明らかになりました。
人間は、一度に複数の作業を「同時に」は処理できません。マルチタスクはあくまで「いくつかの作業を短時間で切り替えながら並行して行う」ことであり、結果として、ひとつのタスクに全力で集中できなくなってしまうのです。
動画を観ながら、スマホで友人とやりとりしながらなどの「ながら勉強」は、このマルチタスクに該当します。自分では同時にこなせているつもりでも、勉強への集中力は大きく低下している可能性が高いのです。
「ながら勉強」はデメリットだらけ?メリットもある?
とはいえ、「ながら勉強」が完全な悪というわけではありません。やり方や「ながら勉強」の種類によっては、メリットもあります。
メリットのひとつは「時間の有効活用」です。例えば、お風呂に入りながらや移動しながらといった「ながら勉強」をすれば、より多くの時間、勉強できるようになりますよね。
また、どうしても見たいテレビがある時に、せめてCMの間だけでも単語帳を見るといった「勉強しないよりはマシ」な場面では、非効率的な「ながら勉強」も無駄とは言い切れないでしょう。
もうひとつのメリットは、モチベーションアップなどの効果が期待できることです。どうしても机に向かう気になれない時、好きな動画やラジオをつけて気を紛らわせながら勉強する、といったケースですね。
何かを始めるやる気がわかない時でも、とりあえず着手してしまえば、作業を進めるうちにやる気がわいてくることがあります。これを「作業興奮」と呼びます。
この作業興奮を起こすため、ひとまず勉強に着手するきっかけやモチベーションづくりとして「ながら勉強」を活用する、という手は意外と有効なのです。
「ながら勉強」で効率を上げるポイントとは?

ただなんとなく「ながら勉強」をするのではなく、「ながら勉強」がどのようなものかを正しく理解して、やる気や集中力をコントロールしましょう。
いい「ながら勉強」と悪い「ながら勉強」を理解する
「ながら勉強」は基本的に効率を低下させると説明しましたが、全ての「ながら勉強」が悪いわけではありません。以下では、それぞれの「ながら勉強」について、効率の観点からおすすめか否かを判断していきます。
テレビ・動画を見ながら
おすすめできません。テレビや動画などは視線を奪われるため、勉強の効率を大きく下げてしまうおそれがあります。
また、映像から流れる人の話し声も、集中を邪魔する原因になります。特に文章系の課題に取り組んでいる時は要注意です。
飲食しながら
基本的にはおすすめできません。
勉強中の間食にはプラスの効果があります。脳に栄養が補給できる、咀嚼により脳が活性化する、などがその例です。
一方、口にものが入っていることで、そちらに気を取られやすくなる可能性があります。また、過去には「ガムを噛みながら計算問題を解いた人は、嚙んでいない人より得点が低かった」という実験結果も出ています。
間食の効果を得たければ、勉強中ではなく、勉強の合間に食べるといいでしょう。
音楽を聴きながら
条件や目的によりおすすめできない場合があります。
好きな音楽には気分を盛り上げ、意欲を向上させる効果があります。また、音楽によりまわりの雑音が遮断されるため、勉強に集中しやすくなる人もいるようです。
一方、歌詞のある曲を聴くと文章課題の効率が落ちる、というデメリットが報告されています。音楽に慣れすぎて、無音の環境では勉強できなくなったという体験談もありました。
なお東北大学の研究によると、どんなに小さな音量でも、音楽があると作業効率の低下が見られるそうです。
どうしても集中できない時、たまに歌詞のない音楽を聴く程度であればいいのですが、ジャンルを気にせず、勉強中ずっと音楽をかけ続けるのは非効率的でしょう。
歩きながら
おすすめです。身体を動かしながら勉強することで脳が活性化し、記憶力や学習能力のアップが期待できると言われています。特に歩きながらの勉強は、移動時間の有効活用にもなり効率的です。
歩きながら勉強するなら、英語のリスニングによる単語暗記がおすすめです。ただし、集中しすぎて転んだり事故にあったりしないよう、安全には十分注意してください。
においをかぎながら
おすすめです。香りがきっかけで昔の記憶がよみがえるという「プルースト効果」は、暗記法にも使われています。
記憶は五感と結びつきやすいと言われています。なかでも嗅覚は、五感の中で唯一脳の感情を司る部分に直接繋がっており、情動と関連付けられやすいため、記憶にも残りやすいと考えられているのです。
暗記中に特定の香りをかぐことで、香りとその時勉強した内容が結びついて記憶に残り、香りをきっかけに思い出しやすくなるという効果が期待されています。
お風呂やトイレに入りながら
おすすめです。お風呂やトイレなどの生活時間にうまく勉強を取り込むことで、忙しいなかでも時間を有効活用でき、より多くの勉強時間を確保できるようになります。
また、お風呂やトイレは誰にも邪魔されずにリラックスできる空間です。静かで集中を妨げるものもないため、落ち着いて勉強に取り組めるでしょう。
お風呂やトイレに入りながらの勉強には暗記が向いています。お風呂なら濡れてもよい単語帳などを用意しましょう。トイレの壁には年表や単語リストなどを貼るのもいいかもしれません。
「ながら勉強」を上手にオン・オフする
「ながら勉強」の中には、勉強の効率は下がるものの、やる気を出したりリラックスしたりといったプラスの効果が期待できるものがあります。
その効果を利用して勉強に取り組み、勉強が軌道に乗ってきた段階で「ながら勉強」をやめて勉強だけに集中する、というのも立派な作戦です。
「ながら勉強」は効率が悪いからと全て禁止するのもいいですが、上手にオン・オフを切り替えさえすれば、「ながら勉強」で効率を上げられる可能性があります。
「ながら勉強」をするなら気を付けたいポイント

どうしても集中できない時、やる気が出ない時などは、以下のポイントを押さえたうえで、上手に「ながら勉強」とつき合うようにしましょう。
教科ごとの向き不向きにも要注意
教科によっても、「ながら勉強」が合う教科・合わない教科があります。
例えば、先ほど「ガムを噛みながら計算問題を解くと得点が下がる」という実験結果をご紹介しました。一方、歌詞付きの音楽を聴いた場合、計算問題にはあまり影響がないものの、文章課題の効率は下がると言われています。
「ながら勉強」の種類や勉強の内容には相性があることを、常に意識しておきましょう。
「合わない」と感じたらすぐに軌道修正を!
人によっても「ながら勉強」の向き不向きがあります。例えば、普段音楽を聴きながら勉強する習慣がない人は、勉強中に音楽を流すと苛立ちを感じやすくなるそうです。一方、勉強中によく音楽を聴く人には、このような傾向は見られませんでした。
友達からおすすめされたとしても、その方法が自分に合うとは限りません。無理に合わない方法で勉強し続けると、効率は大きく下がってしまいます。
自分に合わないと感じた方法はすぐにやめて、別の方法を探しましょう。
本番では「ながら勉強」ができない
「ながら勉強」をすることに慣れすぎてしまうと、その「ながら勉強」ができない状況下では落ち着かなくなってしまう、という人がいます。
当然、入試などの本番や、学校のテストでは、音楽を聴きながら受けることなどはできません。「ながら勉強」に慣れすぎて、いざという時にパフォーマンスが低下しないよう注意しましょう。
「ながら勉強」はほどほどに、「たまにやる」くらいがちょうどいいのかもしれませんね。
「ながら勉強」の効果|まとめ
基本的に、人間は複数の作業を同時に処理できません。マルチタスクは複数の処理を短時間で切り替えることになるため、各作業の効率は低下することがわかっています。「ながら勉強」は勉強の効率を低下させる可能性が高いのです。
しかし、「ながら勉強」にもメリットは存在します。気分を盛り上げる、リラックスできる、スキマ時間を有効活用できるなど、勉強効率以外の点でプラスに働く可能性があります。
また、勉強する内容や「ながら勉強」の内容によっても、合う・合わないがあります。「ながら勉強」の利点と欠点を理解して上手につき合えば、勉強の効率を上げることも可能かもしれません。