受験を控えるお子さんと、保護者の方に知っておいていただきたいのが「併願」の仕組みです。
「言葉はよく聞くけど、仕組みはよく分かっていない…」 なんて方もいらっしゃると思います。
そのような方々に向けて、今回は併願受験の仕組みや注意点・選び方など、「併願とは」について詳しく解説していきます。
最後まで記事を読んでいただくことで、仕組みをバッチリと理解していただくことができますので、ぜひ参考にしてみてください。
併願とは
併願とは、「複数の学校を受験すること」を指します。
他の学校の受験も受ける前提で出願をして、合否を確認してから進学先を決めるというのが、併願受験の仕組みです。
併願受験の多くの場合が、第1志望の保険として受験をするというケースです。
例えば、志願している公立高校を万が一不合格になってしまった場合の保険として、私立高校も受験しておくといったケースが併願受験に当たります。
併願受験は、**「入学の権利は確保しておくので、合格したとしても他の学校の受験していい」**といった約束を交わしていることになるので、他の学校の合否が出るまで入学手続きは待ってくれます。
ですが、いつまでも待ってくれるわけではありません。
入学手続きの最終期限はどこの学校も設けているので、しっかりと確認しておくことが重要です。
併願と専願の違い
反対に、専願受験は「合格した場合、必ず入学します」という確約をした上で出願を行う受験方法です。
この場合、他の学校を受験することはできません。
専願受験の場合、出願には様々な資格が必要となります。
「内申点」や「成績」「出席日数」など、学校生活の中での様々な部分が専願出願の可否を左右します。
専願受験を考えている学生さんは、今一度志望校の出願資格を確認しておきましょう。
併願推薦について
ここでは「併願推薦」について解説していきます。
併願推薦とは、「中3の内申点が各高校の定める基準に達していれば推薦をもらえる」というものです。
併願推薦は「ほぼ100%合格」するものなので、基本的に滑り止めとして利用されることが多い受験方法です。
「第一志望の対策に集中したい」という方は、今のうちに内申点を稼ぎ併願推薦を目指すのもオススメです。
併願ができない試験日程
中学・高校、どちらの入試にも「併願できない試験日程(専願受験のみ)」があります。
私立中学の専願入試
自己推薦型入試・私立高校の専願・推薦入試
間違えて、上記の日程で試験を受けてしまうと、合格した場合は必ずこの学校に進学しなければいけません。
出願時には、試験日程に十分注意しましょう。
併願校への出願前に注意すべき3点
併願校への出願を行う前に注意していただきたい以下のポイントを3点ご紹介します。
- 試験日程
- 選抜方法
- 入学手続き締切日
どれも出願する上でとても重要なものばかりなので、よく確認しておいてください。
試験日程
試験日程は毎年変わるため、最新の募集要項をチェックしておきましょう。
第1志望校の受験日と併願校の受験日が被ってしまった、ということがないようにしっかりと調整しておくことが大切です。
また、遠方まで受験に行く学生さんは、移動・宿泊のスケジュールも考慮しておきましょう。
受験シーズンは積雪などの影響で交通機関が乱れやすい時期でもあります。
無理やりにスケジュールを詰め込むのは危険です。
選抜方法
選抜方法の確認漏れにも、十分注意しましょう。
「学力審査だけだと思っていたら、面接も控えていた」「3教科の試験ではなくて、適正検査だった」など、当日に慌てることにならないようよく確認しておくことが大切です。
選抜方法は急に変わることもあるので、「前の年こうだったらしいから」という先入観は捨てて、最新の情報を入手するようにしましょう。
入学手続き締切日
前述した通り、併願受験を行う場合には入学手続き締め切りに注意しましょう。
締切日までに入学確約書を提出し、入学時納入金を支払わなければいけないため、ギリギリになって焦ってしまわないようにも前もって準備しておきたいところです。
また、入学手続き締切日は第一志望校の合格発表よりも後に設定されているのが望ましいです。
滑り止めのために併願受験をする場合、第一志望校の結果を見て進学をどうするか判断したいので、出願する前には入学手続き締切日もよく確認しておきましょう。
併願校の選び方
「第一志望は決めたけど、併願校はどうやって選べばいいか分からない」とお悩みの方は、以下の選び方を参考にしてみてください。
①難易度 ②教育方針・校風・カリキュラム ③部活動 ④立地・アクセス
ここからは併願校の選び方を詳しくご紹介していきます。
難易度
一般的に、その学校の難易度は偏差値が指標になります。
併願校はあくまでも「滑り止め」ですので、併願校の対策よりも第一志望校の勉強に時間をかけたいと思っている学生さんも多いかと思います。
そのため、併願校は、第一志望よりも低い、必ず合格できるであろうラインから選ぶとよいでしょう。
教育方針・校風・カリキュラム
男女共学・活気・先生との距離感など、学校の雰囲気が自分に合っているかはとても大切な部分です。
校風が合わないと、学校生活を楽しめないなんてことにもなり得ます。
他にも、カリキュラムや学び方は自分に合っているかも確認すべきポイントです。
特に私立の学校は独自のカリキュラムや研修を用意してることも多いため、希望に合った学び方ができるかどうかで学校を選んでもいいでしょう。
部活動
部活動に力を入れたい学生さんは、その学校に「どんな部活動があるのか」「自分のやりたい部活はあるのか」をよく確認しておきましょう。
入学してから「入りたい部活がなかった」となってしまわないよう、パンフレットや学校見学などでチェックすることをオススメします。
立地・アクセス方法
学校の立地や、アクセス方法も重要ポイントです。
- 交通手段
- 天候の悪い日
- 早朝、夜遅くの登下校
上記のような状況になっても問題なく通えるかどうかが見極めのポイントです。
学校は毎日通う場所ということを忘れず、無理のない場所の学校を選びましょう。
併願に関するQ&A
ここからは、併願に関するQ&Aをご紹介していきます。
併願受験を行う上でどれも気になる質問ばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
併願は合格しにくいの?
専願受験に比べると、併願はボーダーラインが上がってしまうケースも考えられます。
併願が受かりにくいという考えよりは、専願の方が受かりやすいという考えです。
学校側は入学者を確保したいため「合格したら必ず入学する」という専願生徒を歓迎しています。
そのため、専願受験のボーダーラインが緩くなるケースが多く、合格しやすくなっているのです。
併願受験に優遇措置はないの?
基本的に、優遇措置は専願受験に用意されていることが多いです。
ですが、中には併願でも優遇措置を実施しているケースもあります。
優遇措置の例 | |
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東京都 | 高校側が設定する内申点基準をクリアしている生徒は、合格確約。 |
埼玉県 | 北辰テスト・内申点の偏差値を満たすと、併願優遇に出願可能。 |
千葉県 | 学校が示す内申点基準を満たし、推薦を貰うことが出来れば、合格確約。 |
学校によって優遇措置の内容は変わってくるため、学校の先生に確認しましょう。
何校まで併願受験していいの?
受験日が被らなければ、何校でも受験可能です。
併願受験は「滑り止め」の他に、「場慣れ」の意味も持ちます。
第一志望校の受験日よりも前に受験することで、試験会場の雰囲気に慣れることが目的です。
受験費用はかかってしまいますが、「初めての受験で不安」「緊張して実力が発揮できないのは嫌だ」と感じる方は、併願受験することをオススメします。
併願とは?併願校の選び方や注意点・気になる併願のQ&Aを解説!|まとめ
併願は以下のポイントにまとめることが出来ます。
①「滑り止め」「場慣れ」を目的とした受験方法
②試験日程・選抜方法・入学手続きの締切日に注意する
③併願校を決める際は、校風や難易度、アクセスなどを考慮して選ぶ
受験において、併願受験をするかどうかの選択は必ず迫ってきます。
お子さんの希望や受験勉強の状況など、様々なことを考慮した上で、併願受験を行うかどうかを決めましょう。