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子どもの読解力を鍛えるためには?家庭で実践できること8選

近年、日本の子どもの読解力の低下が懸念されています。

「子どもの読解力が低いとなぜ困るのだろう?」 「読解力を鍛えるために、家庭でどんなことができるのかな?」

このように考えている親御さんもいるでしょう。

子どもの読解力は、勉強だけではなく家庭でのコミュニケーションや親子の関わりを通しても鍛えることができるのです。

今回の記事では、子どもの読解力を鍛えることの重要性と、家庭で実践できる読解力の鍛え方について紹介していきます。

ぜひ最後までご覧いただき、家庭で実践してみてください。

読解力とは?

本を読む女の子

読解力とは、ただ文章が読めるだけではなく、文章に含まれている情報を正しく理解して意味を把握する能力のことです。

OECD(経済協力開発機構)が3年ごとに実施している「PISA」と呼ばれる国際的学力到達調査では、読解力を以下のように定義しています。

「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」

引用:文部科学省|PISA調査における読解力の定義,特徴等  (opens new window)

読解力は、学習面だけではなく、日常生活のさまざまな場面で必要とされる能力といえるでしょう。

子どもの読解力低下の原因

タブレットで遊ぶ男の子

PISAの調査結果から、日本の子どもの読解力が年々低下傾向にあることがわかっています。

参照:文部科学省|国際学力調査(PISA、TIMSS) (opens new window)

日本の子どもの読解力低下にはどのような原因があるのでしょうか。

長文に触れる機会の減少

子どもの読解力低下の原因として、長い文章に触れる機会が減っていることがあげられます。

最近は小中学生のSNS利用が増えており、日常的な家族や友達とのやりとりや連絡は「LINE」などを活用することがほとんどです。

SNSでの短文のやりとりでは、正しい日本語ではなくても意味が通じれば会話は成立しますし、スタンプや絵文字で感情を簡単に表現することもできます。

自分の伝えたいことを文章にまとめて表現することや、相手の綴った文章から意味を読み取る訓練をする機会がとても少なくなっているといえるでしょう。

読書量の減少

子どものスマートフォンやタブレットの利用率が増え、ゲームやSNSを利用する時間が増えていることに伴い、子どもが本を読む時間が減ってきています。

また、共働き家庭が増えたことにより家庭でゆっくり本を読む時間がとれなかったり、新聞購読をしている家庭も少なくなっていることから家庭内で活字に触れる機会が減っていることもあります。

読書の量が減ることで、それだけ読解力を鍛える機会が減ってしまうことになるのです。

読解力が低いとなぜ困るのか

本を読みながら悩んでいる女の子

読解力が低いことでどのような困りごとが起こるのでしょうか。

読解力というと国語の学習に影響すると考える方が多いかもしれませんが、読解力はさまざまな教科の学びに繋がっています。

算数や数学でも、計算は得意なのに文章問題になると解けなくなってしまったり、理科や社会でもグラフや統計から内容を読みとることが難しいと感じるのは、読解力が足りないことが原因の1つと考えられます。

近年は、受験においても読解力を重視した問題の出題が多い傾向にあります。

問題となっている資料から内容を読み取り、さまざまな知識を使って自分で回答内容を考え、文章にまとめて記載するような問題が増えていることから、読解力が低いと解けない問題が多くなってしまうといえるでしょう。

また、コミュニケーションにおいても、読解力が低いことで相手の言っていることを正しく理解できなかったり、自分の考えをうまく相手に伝えられなかったりしてしまいます。

読解力は、学習面だけではなく生活のさまざまな場面で必要とされる能力なので、しっかりと鍛えておくことが重要なのです。

読解力を鍛えるメリット

本を読む子供

読解力はさまざま学びの基盤となる能力であることがわかっていますが、読解力を鍛えることで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。 詳しく紹介していきます。

成績が上がる

読解力を鍛えることで、情報を速く正確に読み取り理解を深めることができるようになります。

教科書の内容や授業での先生の説明をスムーズに理解することができるので、知識の取得スピードが上がるのです。

テストでも問題文を読んですぐに理解できたり、回答を速くまとめることができるようになるので、ぐんぐん成績があがっていくでしょう。

コミュニケーションが円滑になる

読解力を鍛えることで、コミュニケーション能力も高めることができます。

読解力があると、他人が伝えたいことを的確に理解できたり、自分の気持を相手にわかりやすく伝えたりすることができるようになるからです。

お互いの考えを正しく読み取ったり伝えたりできないと、誤解が生まれてしまうこともあるでしょう。

子どもの頃から読解力を鍛えておくことで、自信をもって他者とコミュニケーションをとっていけるスキルを身につけることができるのです。

情報収集能力の向上

現在の社会では非常に多くの情報に囲まれており、今後もIT化の流れは加速していくことから、これからの子ども達はとても多くの情報から必要な情報を適切に選び取って処理していく能力が求められていきます。

読解力を鍛えることで、情報を読み取り必要なことを取捨選択して処理していけるようになるため、これからの時代に必要な情報収集能力を向上させることができるようになるでしょう。

読解力を鍛えるために家庭で実践できること8選

親子で一緒に本を読む様子

これからの時代を生きていく子ども達にとって、読解力を鍛えておくことは学習面だけではなく生活のさまざまな場面で必要となります。

読解力を鍛えるために家庭で実践できることを紹介していきます。

読書の機会を増やす

さまざまな分野の本を幅広く読み、本からの情報を読み解く練習をたくさんしている子どもは読解力が高くなることがわかっています。

最近は本を読む機会が減少傾向にありますが、意識して多くの本に触れる機会を作るようにしましょう。

本を読むことに苦手意識のあるお子さんであれば、図鑑などの文章の少ない本でもよいので、興味のあるジャンルの本を楽しみながら眺めることからスタートするとよいでしょう。

まずは本を楽しみながら手に取る習慣をつけることが大切です。

本の読み聞かせをする

小学校低学年までは自分で本を読むだけではなく、耳から聞いた情報を正確に理解できるようにすることも、読解力を鍛えるために効果的です。

どうしても文字を追うことに集中してしまい、物語の内容や言葉がよく理解できないまま読み進めてしまうというような、自分で読むことが苦手な方にもおすすめの方法です。

人に読んでもらうことで本の内容をイメージしやすかったり、言葉に注目して覚えたりすることができます。

絵本に限らず児童書や図鑑なども、読み聞かせをしてあげることで本の内容に集中することができるため、幼児期だけではなく小学生になってからも本の読み聞かせは続けるとよいでしょう。

音読をする

視覚と聴覚を使ってじっくりと読む音読もとても重要です。

黙読では、知らない言葉を読み飛ばしてしまったり、流し読みになってしまったりすることもありますが、音読では一字一句飛ばさずに読むことが必要です。

漢字の読み方や意味を正しく理解できているかどうか、言葉や文章の切れ目はあっているかどうかを意識しながら音読することで、文章の内容を正しく理解して、相手に伝わりやすく読み進めることができるようになります。

辞書を使う

文章を正しく読み解いていくためには、語彙力が重要です。わからない言葉が出てきた時にそのまま読み進めてしまうのではなく、辞書を引いて確認する習慣をつけることで、語彙力を身につけていくことができるのです。

語彙力が豊富であることは、文章の内容を正確に理解できるだけではなく、自分の考えを正確に伝えるためにもとても大切です。

わからない言葉に出会ったら辞書を使って調べ、自分で自由に使いこなせる言葉を増やしていくことを習慣にしていきましょう。

親子でよく会話する

家庭でのコミュニケーションは、子どもの言葉の発達のためにとても大切です。

日常での何気ない会話から、子どもは情報を読み取り、自分の考えを伝えるためにたくさんの思考を繰り返しています。

毎日の親子での会話を増やすことで、子どもはたくさんの言葉に触れられ、自分の考えをまとめる練習ができるので、読解力を鍛えていくことにつながるのです。

作文や日記を書く

自分の感じたことや考えたことを人にわかりやすく伝えるための練習として、作文や日記を書くこともおすすめです。

最初は短い文章でも良いですし、いきなり上手に書ける必要はありません。

文章を自分で考えて書く機会を増やすことで、自分の伝えたいことを正確に表現するためには語彙力が必要であることに気づいたり、よりわかりやすい表現を考えながらまとめる訓練ができるようになります。

読んだ本や見た動画についてのディスカッションをする

読解力はコミュニケーションによって高められますが、ただ話したり聞いたりするだけではなくディスカッションすることでさらに鍛えることができます。

例えば、読んだ本の内容や一緒に見た動画について、「〇〇についてはどう思った?」といった質問をしてみて、自分なりの考えをまとめ、相手に伝わるように表現する練習を繰り返すことで、本や動画の内容を読み解く読解力を鍛える練習になります。

異なる年齢と交流する

日常で触れ合う機会の多い家族や友達だけではなく、異なる年齢の人との交流を持つことも読解力を鍛えることにつながります。

普段の生活ではあまり馴染みのないテーマや言葉に触れ、その内容を読み解こうとしたり、異なる意見や考え方を知ったりすることで、新しい情報からさまざまなことを吸収する力や、読解力を高めることにつながるのです。

子どもの読解力を鍛えるためには?|まとめ

今回の記事では、読解力の重要性や、読解力を高めるために家庭でできることを紹介しました。

読解力は学校での学びだけではなく、大人になってから社会で活躍するために必須のスキルといえます。

今回紹介した実践例を意識して、子どもの読解力を高められるようにサポートしてあげましょう。

学研オンエアでは、子どもの読解力を鍛えて成績アップにつながる学びの環境を用意しています。ぜひ無料体験に参加してみてください。

山下彰洋
山下彰洋

Gakken ON AIR塾長。塾講師歴22年。迫力満点の熱血授業。わかりやすさだけではなく「考え方」を重視した授業スタイルが人気。算数・数学講師、教室長、研修課長、教務課長を歴任し、現在は学研にてオンライン学習塾の事業責任者を担当。